軽井沢においしいアップルパイ通りができたと聞いて
つい先日のNHK「あさイチ」で軽井沢のアップルパイ店の急増が特集されていた。
番組では、美味しいアップルパイが観光客にも大変人気だと紹介されており、その話題に惹かれたボクは今年のETCツーリングプランが11/30で終わることもあり、軽井沢を訪れることにした。
これまで軽井沢は自転車やバイクで通り過ぎるだけで、街の中心地をじっくりと探索したことはなかった。今回は駐輪して街を散策し、軽井沢を存分に満喫しようと決めた。バイクの駐輪場はこちら。(公衆トイレ横に無料の駐輪場 小スペース)
どうして突然アップルパイの店が増えたのかというと、令和元年の台風19号の被害で長野県の特産物のリンゴが出荷に耐えれない傷がついたものが大量に発生。それらをジャム製造が特産の軽井沢が大量に受け入れ、その中で「これならアップルパイにしてはどうか」と意見が生まれることに繋がり、町全体でアップルパイを取り扱う店が増えたそうだ。
余談だが、軽井沢にジャム店が多い理由は、1905年に外国人の避暑地として人気だったころ「故郷の味が食べたい」と要望を受けた地元の方が、宣教師から製法を学び作り始めたのが発端らしい。(中山のジャムが発祥の店)
駐車場近くからは商店街が続いていたので、ブラブラと散策。
めぼしい店を冷やかしていると、商店街に何件も同じチェーン店があることに気づいた。
セルフィユ軽井沢はとくに店舗数が多く、ジャムがメイン商品ようだったが、ここでは塩バターのガレットを食べた。
観光地のお土産お菓子といえばわかりやすい濃い味付けのものが多いが、ここのお菓子は口溶けもホロホロと優しく、バターはほんのりと香る程度で実に優しい味わい。たくさんたべていいからね。と言われたら2、3個はコーヒーと一緒に食べても飽きが来ない。そんな味だった。長野のお土産に悩んだときにもし売っていたら迷わず買って帰るだろう。
大通りから脇道にそれると外国人の店主が営むピザ屋があったので入ってみる。
あいにくとランチタイムが終わっていたため、ピザ2種類とドリンクしか用意できないとのことだったのでピザを注文。
店内を撮影しているとピザが提供された。
日本のピザ屋でよく目にするクリスピーよりも厚く、パン生地タイプよりは薄い。そして硬い。「ピザは生地を食べる料理」というのを目にしたことがあるから、本場イタリアはこういう生地に存在感があるピザなのだろうか。
これはこれでピザとしては美味しいと思うものの、ボクはなぜか魔改造されて日本人向けに調整されたピザの方が好みだと感じた。それでも国内にいながら遠い異国の料理を食べれる経験は嬉しい。いつかヨーロッパに行ってみたいと思っていたが、行くことなく人生を終えそうな気がする。
店を出たあと、新宿南口にも出店していた「ブランジェ浅野屋」の本店があったのでアップルパイを購入。「パン屋のアップルパイといえばこういう味だろう」という想像は裏切られ、同店の名物クロワッサンのように口の中でサクサクとほどけていく口当たりの軽さに加え、砂糖の甘さではなく、りんご本来の甘さを前面に出したような優しい味。軽井沢の食べ物はどこも優しい素材の味がして、濃い味の料理が少ないように思える。
その後はお目当ての「APPLE PIE lab」へ移動。
小さな店内には最近良く見るグルっと回るタイプ。右手奥のレジ横ショーケースには多くの人が想像するアップルパイのホールが陳列されている。よく見ると紅玉・シナノスイートと使われているりんごが違うようだった。中には季節のマロンパイもあり、こちらがとても美味しそうで心惹かれた。
食べ歩き用のアップルパイは2種用意され、ショーケースのものとは少し形が違う。どちらかというこちらはパン屋でよく見る生地に包まれたタイプ。りんごカスタードパイは注文でクリームを詰めてくれるらしく、キャラメルナッツアップルパイは期間限定でナッツとりんごが香ばしく美味しそうだった。
季節限定ならと、今回はキャラメルナッツアップルパイを注文。マロンパイは最後まで悩んだ。
お店を出て早速かぶりつき、今日一番の美味しさに目を開く。これはなんとも想像を遥かに越えた美味しさだ。
正直、店名から斜に構えていたのは否めない。しかしアップルパイの美味しさは本物だった。アップルパイ研究室の名に恥じない一品に驚いた。
「ブランジェ浅野屋」のパイ生地も相当に口当たりが軽かったが、その二つ上くらい軽い。クロワッサンが好きでよく食べているボクだが、ここまで噛んですぐに口の中で溶けて消えるような食感のパイ生地は口にしたことがなかった。
りんごの甘さと焼いたナッツの香ばしさが口の中で楽しい。そして味付けは素材そのものの味良さと甘さ。これは絶品だ。といたく感動した。
手が止まることなく夢中でパクパクと食べてしまい、こんな軽いならまだいける!マロンパイも美味しいに違いない!と足が店内に吸い込まれる。
「いやいやカロリー考えて。だめよ」と脳内の天使がドライブインパクトで止めてなければボクはマロンパイを買っていたに違いない。危ないところだった。インパクトは見ても返せないからね。
そのあとも別のアップルパイ屋さんを探してウロウロするも日がくれはじめたこともあり、適度に散策を切り上げ来た道を戻ると「世界一のアップルパイmille mele」を発見。
「世界一の〜」というのはだいたい……と半信半疑だったがせっかくだしと購入。
普通に美味しい。いや美味しいけれど……と視界の端に見えるAPPLE PIE labの店。あっちが美味しすぎて霞んでしまう。ほんま、なんてものを食べさせてくれたんや……
もうこうなったらマロンパイを食べてやる。と再度APPLE PIE labに向かったが、お目当てのマロンパイも紅玉アップルパイも売り切れていた。ションボリ。
あの時買っておけばという後悔だけが残ってしまった。
また軽井沢に来る目的ができたと考えよう。
そうして日が完全に沈む前に帰路へついた。