今年は夏くらいから長野県北部にある野沢温泉へ行きたいと考えていた。
ところが新潟から北関東にかけてはなぜか週末だけ天気が悪く、行こうと思うと絶賛雨ということが多かった。
9月最終週。天気予報を見ると、長野県・群馬県共に土日晴れとなっていた。
行くしかない。これはもうここでいくしかない。
そう思ったボクは早速楽天トラベルで宿泊地を探しはじめた。
色々な宿を検討した結果、今回はお安めでバイクライダーレビューがあり、「予約制で、屋根付きの玄関先にオートバイを置いて頂けます」が決め手になり「野沢温泉 静泉荘」を予約した。
静泉荘にはプランがいくつかあり、食事なしでアメニティも無しの安価なプランと(5,800円)、アメニティはあるが食事がつかないプランがあり(6,800円)、とりあえずは安いアメニティなしのプランを予約。
出発準備をすすめるにつれ、10月の長野県北部、それも群馬県の標高高めを通ることを考えると荷物が増えてでも少しは厚着の準備があったほうが良いのではと不安になりはじめた。そうなるとパニアケースをつけるかと悩みが生じる。荷物の余裕はできるが、せっかくの渋峠・志賀高原。気持ちよく余計な装備をせずに最小構成でバイクを走らせたい気持ちが強かった。
さらに外湯巡りできる温泉街ということは、都度都度衣類を着脱する必要があるため、旅館の浴衣の方が良いのではと考え直し、宿に電話しアメニティありのプランに変更していただいた。
結果的にはその選択が大正解だった。
伊香保温泉IC出口から草津を経由して志賀高原へ
前日にどらぷら関越道・東北道プランを申し込んでいたので、最寄り入口から伊香保温泉IC出口までまっすぐに移動。何度通っても思うことだが、地図上では感じないのに高崎までは走行するととても遠く感じる。
伊香保温泉IC出口からは下道を走り、一路草津市街地へ。
途中、「道の駅あがつま峡」と「道の駅 八ッ場ふるさと館」に休憩がてら立ち寄りながら天気の良いロマン街道を走る。草津までは何度かきたことがあるため、ここまでの道に不安はなかった。
しかし草津から先は完全に未体験エリアとなる。
冬季期間中は通行止めで締め切りになる天狗山ゲートを横目にし、国道292号線「浅間・白根・志賀さわやか街道」を登り始める。
どんどんあがる標高。つづら折りの道が続く。
事故だけはしないようにと慎重にバイクを操作した。
さすがに人気のドライブスポットだけに多くの車とバイクが走行していた。適度に見晴台等で休憩しながら走っていたためか、思いがけず多くのバイクライダーの後ろ姿を見る機会に恵まれたため、自分と比較した。
やはりまだまだ操作が硬いし、バイクを完全に倒しきれていないなーと感じる。
恐怖心から体がリラックスできていないために荷重移動がうまくできていないのだろう。
それを特に感じたのは志賀高原からの下りで前を走っていた二人組のライダーだった。
特に前を走っていたライダーの方はやや混雑した道に飽き飽きしていたのか、手放しで運転し荷重移動だけで曲がっていた。
危ないといえばそうだし、それが正しい運転ではないだろう。
しかしその運転を見たときに、自分の運転はまだまだ荷重移動主体でバイクを操作できておらず、荷重移動のきっかけを腕の力を使ったハンドル操作で行っていることに気づいた。
まだまだバイクの操作に慣れていないな……と気づくことができただけでも、今回来たかいがあった。
その後の道は荷重移動に主体をおいてしっかりと練習した。
草津からだいたい2.5時間ほどかけてで渋峠を越えて反対側の長野県に降りた。
「道の駅 北信州やまのうち」で休憩を取ろうと思って立ち寄ったが、17時近かったため閉店間際だった。
ふと前に長野県に来たときに食べて美味しかった「自家製麺うどん 田りた麺之助」が近いことを思い出してGoogleMapを検索すると、営業開始が17:30だったため開店を待つことにした。
開店即入店して、前と同じく寒いのにざるうどんを注文する。
どうせなら品数限定のカレーうどんを頼めばよかったかもしれないとやや後悔したものの、故郷ののどごしを思い出す美味しいうどんを堪能した。
この切り立った角のあるうどんとモチモチした食感で歯ざわりよく、喉で噛むうどんが大好きだ。故郷から遠く離れた長野県で故郷に似たうどんを食べれるので定期的に通いたい。
東京駅にも「うどん 麦まる」というチェーン店があり、開店当初は良かったがだんだんと企業努力で味も麺も悪くなったので悲しみと共に足が遠のいた。
だいたい東京都内のうどん屋は、良いと思って通っているうちに企業努力されていかなくなってしまう。悲しみしかない。
できればこちらの店舗には、いつまでもこのコダワリを続けていただきたい。
食事を終えて店をでるとあたりはすっかりと日も沈み暗くなっていた。
お店から野沢温泉までは30kmほどのため、暗い田舎道を走る。
野沢温泉は地図上でぼんやりとしか確認していないこともあるが、温泉付近にスキー場があったたため、もしかしたら結構標高が高いところにあるのかもと思ったが、そんなことはなくと低地にあった。
何より少し意外だったのが、野沢温泉はよくある地方の温泉宿が集まった町とおもっていたが、思った以上にしっかりとした温泉街で外湯巡りを楽しめるためか多くの宿泊客が歩いていて、印象としては兵庫県の城崎温泉のような場所だった。
ひとまず予約していた「野沢温泉 静泉荘」に向かう。
サイトの案内通り屋根のある場所へ駐輪。個人的に青空駐車より屋根のある場所に駐車できる宿が好きだ。それだけで宿の評価が上がる。
受付で周辺の簡易説明とお部屋を案内していただく。
お部屋は雪国ならではの旧型の暖房機があること以外はよくある温泉宿部屋で、清掃が行き届いていて清潔だった。
トイレと風呂は共同だが、価格が控えめなので何も不満はない。
あと古い旅館によくある謎の小さな涼みスペースもあった。
使わないけれど申し分ない。
レビューで人懐っこい飼い猫がいるとあったが、特にお部屋に訪れるわけではなく、たまに廊下をまたぐように横になっていたりするのを見るくらい。癒される。
荷物を置いた後、早速浴衣に着替え、外湯マップをみながら温泉街を歩くことにした。
まずは静泉荘から近い、河原湯へ。
入口には賽銭箱があり、お金を入れたい人は入れるとのこと。
まずは100円を投下し入る。
公共外湯はシャンプー・石鹸などの備えがないため、宿泊施設などが貸し出しを行ってくれていた。早速お借りしていた石鹸で体を洗い、いざ入浴。
いやいや入れる温度じゃない。
何これ尋常な温度じゃない。
嘘でしょ、どうすればいいんだ。
としばらく浴槽を眺めていると町の人が入浴に訪れ、水を入れて調整することを教えてくれた。どうも源泉がそのまま流れ込みっぱなしのため、人が入らないと際限なく熱湯が注ぎ込まれアッツアツになるようだった。
しばらく大量に水を流し込んで、やっと入浴できる温度になったので湯船に浸かる。
弱アルカリ性のお湯は肌をツルツルにしてくれるのを感じた。
湯船で冷えた体を芯まで温めてから、別の場所にも行ってみようと移動。
近くの大湯へ北上して向かうと、こちらは町の大通りのようで人がとても行き交って賑わっていた。大湯付近は広場があり、飲食店の屋台もでてとても賑わっている。野沢温泉の知名度はボクの中では低かったためもっと閑散とした場所だと思っていたが、予想以上の繁盛っぷりだ。
そのためか大湯は絶えず人が出入りしていたので、左側の公園の湯へ向かう。ただこちらは時間で閉まっていたので、そのまま南下し今度は麻釜の湯へ。しかしこれまた麻釜の湯は満員。それならばと真湯へと向かうも、こちらも時間で締め切られていた。
これだけ歩いているなら、そろそろ空いただろうと、再び麻釜の湯へ訪れると誰もいなかったため100円投下し入室。
当たり前の話だが泉質が異なるわけではないかと思いながら湯船に浸かった。
しかしそうなると全部巡る必要はないなと思い直し、宿に帰る道すがらにある熊の手洗い洗場で入ってから宿に戻った。
3つほど入って、湯船の形と室内構造が違うだけではあったが、最初に入った河原湯が一番良かった気がする。
宿の方でも源泉が引かれているので一応入浴したが、こちらはさすがに築年数を感じる古びた浴室だった。宿泊料を少し値上げしてても浴室リフォームしたほうがお客さんがたくさん来そうな気がしたが、このご時世だと難しそう。
入浴後は再び大通りに戻り、酒屋で地ビールをいくつか見繕い宿に戻る。
昔の癖で3本購入してしまったが、2本飲んだ時点で結構きつい。
もう少し考えて買うんだったとやや後悔しながら無理やり飲み、その後はインカムやスマートフォンを充電し、布団に潜り込んだ。
翌朝は9時に出立。
女将さんがお見送りしてくれた。
小さなサービスだが心が暖かくなる。単純だがまた来ようと思った。
野沢温泉からは県道502号線で志賀高原へ戻る道が地図にはあった。
しかしツーリングサポートで自宅ルートを設定すると、前日のルートを真反対に行く道が示される。これは県道502号線は行かない方がいいのかと判断し、ナビに従って行きに通ったルートを戻った。
前日は暗い道だったため信州中野市から野沢温泉までは何も見えなかったが、朝の日差しの中町並みをゆっくりと眺めながら走る。するとところどころ立ち並ぶのぼりにはためく「野沢菜漬」の文字、もしかして長野県の野沢菜漬ってここが発祥……?
なんで気づかなかっただろうと後悔するも気づいたのは野沢温泉をだいぶ離れた後だった。しかも間が悪いことに野沢菜漬工場の直売所は休業日だった。
道の駅になら特産品だし扱っているのではと期待し「道の駅 ファームス木島平」に立ち寄る。
残念ながら野沢菜漬はなかったが、美味しそうな手作りおにぎりが200円だったため朝食に購入。朝の日差しを浴びながら真っ白なお米のおにぎりを食べる。塩加減もよく美味しい。
買えなかったものは仕方ない。また来ればいいやと出発。
志賀高原・渋峠を帰り道は反対から登る。
面白い道は何度走っても面白い。
来たときと同じように運転操作をしっかりと確認しながら渋峠を登り、下る。
走っていると自転車を何台か見かけたが超人か??
冷静に考えて草津まで登るだけでも超人レベルなのに、そこから渋峠まで登るなんてどんな変態だ。人間卒業してるのか。自分が踏破できるビジョンが全く見えない。
昼過ぎごろに天狗山に戻った。
草津温泉の賽の河原湯に入ることも考えたが、野沢温泉で満足していたこともあって、そのまま真っすぐ伊香保温泉ICを目指した。
高速乗ってからは東北道を使って帰宅。
総距離500kmほどの旅行だったが、早めに帰宅して休めたことで翌日に疲れは残らなかった。
また来年も行こうかなと思う。