北陸にキター | 2024 北陸旅

2024年初め。能登半島で大きな地震があった。
まるで現実感のない出来事だったが、記憶に強く残っている場所の被災だったためいつも以上に痛ましく感じた。すぐに寄付金をと頭を掠めたが、それよりも落ち着いたころにまたゆっくりと能登半島を旅しお金を落とした方がボクも楽しいし、能登で暮らしている方にも役立てるのではと考えた。
今年の夏は、能登半島へ復興支援目的で旅に出ようと。

せっかくなのでGWのときに思いついた「簡易野宿しながら旅をする」を早速やってみようとおもった。まだ被災地復興はおわっていないから、ボランティアや事業者の方々でホテルは使われているはず。復興支援といいつつ邪魔をしては意味がない。

目次

準備編(追加購入品)

GIVI 防水ドラムバッグ 40L / ROK Straps

早速40Lの防水バッグを購入。
使わなくなったときメルカリで売れやすいようにという打算からGIVI製品にした。

GIVI(ジビ) 防水ドラムバッグ 40L ブラック EA115BK 96104

GIVI(ジビ) 防水ドラムバッグ 40L ブラック EA115BK 96104

8,279円(09/18 17:22時点)
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テントと寝袋、グランドチェア(転売に買われる前にと買ったものの使っていなかった)、それと最低限のクッカーが入りそうなサイズを考え40Lを選択。もっと大きなサイズでも良かったが、それならTanxのキャンプバッグでいいのではと思う。
それに大きなサイズの場合、「せっかくだしあれも、これも」と余分な荷物をふやしてしまいそうだった。なるべく旅は必要最低限が良いと思っている。

バッグには2本の固定用ゴム紐がついていたが取り付けイメージがわかなかったので、追加でROK Strapsを購入。これも結果的に買って正解だった。
バッグが多少膨れても上から締め付けれるROK Stapsなら圧縮しつつきっちりと固定してくれる。そのためバイクの乗り降りがしやすく助かり、微動だにしない固定力も運転中バッグが気にならず良かった。

ThousWinds twilight オイルランタン

これまではSnowpeak「たねほおずき」をLEDランタンとして使ってきた。これは間違いなく良い品だ。ただ欠点もあり、高い位置のランダンホルダーに吊るして使うダウンライトに向いた設計のため、テーブルにおいて使う全般配光として使うには照射範囲が狭く心もとない。

今回、設営の楽さ・積載量の都合でタープを持っていかないとなると「たねほおずき」はテント内の光源としか使えず外では別の光源が必要だった。
そこで前から少し考えていた雰囲気のあるオイルランタンを買うことに。
小さく軽量で、専用ケースもあれば積載も安心と探してみるとThousWinds Twilight オイルランタン(370g)が良さそうだった。燃料のパラフィンオイルには虫除けハーブが含まれているものがあり、これなら蚊取り線香も不要で一石二鳥の良いアイディアに思えた。

余談 / パラフィンオイルの虫除けハーブの効果

パラフィンオイルの虫除けハーブは、一定数効果があった。
もし右側にランタンを置いているなら右側はバッチリ蚊が来ない。素敵だ。
しかし左側からはくる。当たり前だよね。ままならないね……?
結局、反対側には蚊取り線香を置く必要があった。

また購入したSTAR製のパラフィンオイルは、ススがでないという触れ込みだったけど、オイルでススがでなくても、炭化した燃焼芯からでるススでホヤ(ランタンのガラス部分)がだんだんと汚れた。とはいえど水で洗えばいいだけなのであまり気にならない。

あとパラフィンオイルの持ち運び容器は、「VARGO アルコールフューエルボトル 240ml」が良さそうだった。(モンベル店舗にあった)
近場のキャンプ用品をアウトドアストアで探すと微妙に高くて重量のある携帯燃料ボトルしかなく、結局1Lのボトルをそのまま持っていった。しかし5日間の野宿で長時間つけっぱなしでもせいぜい250ml使ったくらいだった。

ちなみに間違ってもランタン内に燃料を入れて携行しようと考えてはいけない。
初日の宿泊で全部寝袋が吸い込んでしまっていた。横倒しになったわけでもないのに、全部流れ出ていた。悲しみしかない。
人は失敗からしか学びを得ることができない愚かな生き物。


DAY #01 長野県〜新潟県上越市

いつも以上に起きるままに起きて出発。
その日暮らしの旅の始まりだ。
どこまでも走ってもいいし、走らなくても良い。
「君は自由だ。選びたまえ。つまり創りたまえ」(ジャン=ポール・サルトル)

今回の旅もいつも通りルート設定をしない。
道を走り、案内標識を見て、心赴くままに旅をする。
普通に行くなら関越から上信越が早いが急ぐ必要はない。そこで岩船JCTから北関東自動車道を通り上信越へ入ることにした。

昼過ぎに出発したが、さすがにお盆だけあって、東北自動車道の主要SAは入口が渋滞していた。結局最初の休憩は足利SA。その後燃料警告がついたので横川SAで1,000円だけ給油。
SAが大混雑して入れないほどか……というのは失念していたので昼食難民になっていた。
「そういえばYoutubeの黙飯でトラックの運転手が長野でよく食べるSAがある」とメモしたこを思い出しGoogleMapを見ると、 佐久平PA トラック野郎食堂があった。これだ。これしかない。ドカ盛りいくぞー。と目指す。

スタミナ定食が人気のようだったが生卵さんが共演NGなので、山賊焼き定食にした。
大盛り・トラック盛り(大盛りにの2倍)とご飯が選べたが大盛りにしておいた。
山賊焼きってなんだろうと思っていたが、竜田揚げのような食感の衣に甘辛いソースがかかっていた。夏の日差しで消費した塩分を補給できる味にご飯がとても進んだ。大満足。
ところがあまりにも満腹だったため、「よししゅっぱーつ」と数km進んだら、とんでもない睡魔に襲われた。「これは……糖質スパイク……」と眠気に耐えて事故するよりかは…と2つ先の東部湯の丸PAに草むらがあったので倒れるようにして仮眠。(20分休む)

再々出発で更埴JCTを新潟方面に進むと、再度燃料警告が点灯。
案内標識には「松代SAが最後の給油だぞ。そこから先は新潟まで給油がないからな!」と警告されていたこともあり、それならばもう長野からは下道で行こうと考え高速道路を降りた。

野沢湖

長野IC出口で善光寺までの案内標識を目にしたため立ち寄りを考えた。しかしできれば初日に富山へ……と考えていたのでそのままスルー。
IC出口付近のガソリンスタンドで給油後、地図を見ると新潟へ続く国道18号線は千曲川にそって市内をはずれた先で合流していたので、ワイディングが面白そうな県道37号線(長野信越線)でまっすぐ山道を北上することにした。
県道37号線は通行量も少なくゆるやかなワインディングロードで、走り抜けると再び国道18号線に合流。そのまましばらく走っていると「野沢湖」の案内標識が見えた。

ここでスルーすると自由気ままな旅ではないと感じハンドルを切る。
大きな木製の入口案内を眺めていると「湖畔キャンプ場」の文字に気づき、「初日はここで宿泊するのもありか」と向かってみたものの入口にはロープが貼られ、「予約で満員」の看板がでていた。ですよねーとUターンし遊覧船駐車場で適当に湖を撮影し再出発。

妙高高原 / 燕温泉 黄金の湯

空が暗くなり始めたころ、「道の駅まで18km」「妙高温泉」の案内標識を目にした。
暗くなる前に寝床を決めたかったので、今日はその道の駅で野宿しようと考えた。それなら先に温泉で入浴すればいいのでは?と思いつき妙高温泉を調べると、6km先にある「燕温泉 黄金の湯」が高評価。他の温泉は14時までの営業だったが、黄金湯だけ24時間営業とある。「これは助かるー」と深く考えずに向かうことにした。

ところがこれがまたとんでもない道だった。
まっすぐな県道39号線(妙高高原線)を走っていると進行方向に見えていた太陽が完全に地平線に沈んだ。とはいえど夏のため日没後も空がまだ明るかった。ただそんな只中、高原地帯のでよく見るような濃霧に突っ込んだ。「これこそが五里霧中です」といわんばかりに濃い濃霧で、ライトは目前の霧しか照らさず道路は数m先しか見えない。恐ろしすぎる。
ビクビクしながら徐行速度で走っていると、とどめとばかりに小雨が降り始めた。地球のへそか?引き返せーって言葉すら聞こえてくる。
おっかなびっくりなんとかナビ設定の目的地へたどり着くと崖沿いの駐車場だった。石碑には「燕温泉」「秘境」と書いてある。本当に文字通り、嘘偽りなく秘境だ。
駐車しGoogleMapのナビで黄金の湯を目指すと、なぜか温泉施設らしき建物郡を通り抜け山奥へ行こうとする。「一体どこへ……」と思っていたら、登山道途中に「野点温泉 黄金の湯」と書かれた看板が草むらの中に立っていた。

Google Mapはこの先にあると表示


「そりゃ24時間営業だわ!アホかー!」と心の中でおもったものの、今さらひきかえすのも……と歩き続けて到着。

はじめての野点温泉
燕温泉 黄金の湯。濃厚な硫黄泉だった。

誰もいないと思っていたが、先客の男性がいた。
完全に青空野点温泉というわけでもなく、小さな脱衣所があり(脱衣籠もある)、そこで衣類を着替え入浴する形だった。
まだ完全に日もくれていなかったので景観は良かったけど、道中が完全に恐怖体験だった。
また訪れたいか?と聞かれると返答に困る。温泉は良いけど怖い。という気持ち。

入浴後、施設が立ち並ぶエリアまで戻るとすっかりあたりは暗くなっていた。どの宿泊施設も満員のようで、意外と知らないだけで有名な温泉地なようだ。
雨脚が強まってきたこともあり、帰り道は濃霧から足元に少し霧があるな程度になった。ノロノロとした速度で下山し、元の国道18号線まで戻ってきたとき安堵のため息がでた。
初日からなんとも濃厚な体験をした。

道の駅 あらい / 平山キャンプ場

国道18号線をまたしばらく走ると18kmの案内どおり「道の駅 あらい」に到着した。
はじめての野宿……と不安からドキドキした心持ちで巨大な駐車場に入ると車中泊ブームからか、とんでもない数の車がひしめいていた。これはもはや車中泊専用駐車場では?といわんばかりだ。野営するには居心地が悪い。

想像では営業が終わって人が少ない道の駅に「お慈悲をっ!」とスペースをお借りしてテント設営し睡眠。朝早くに出発というプランを考えていたが、あまりの車中泊の多さに「なんであの人テント張ってるの?マナー悪くない?????SNSに投稿してやろw or 通報しよw」となりそうでげんなりした。
「道の駅あらい」は巨大な複合施設で、駐車場も第二まであり、第二には芝生エリアもありギリギリこれなら……と思わなくもなかったが、子連れ車中泊の家族が元気に花火までしている中で……と絶望感漂う気持ちになった。

それならいっそと周辺でキャンプ場を探すも、近隣エリアは受付時間終了の場所ばかり。そんな中、「平山キャンプ場」は上越市の町中にあり、レビューコメントで「20時ごろに電話で受付でき、バイクで利用させていただきました。とても助かりました」というのが見えたので19時ならまだ間に合うか?とダメ元で電話すると、支払いを翌日してくれれば好きに使って良いと快諾いただく。

通話を切ったあとなんともいえない安堵を感じた。
旅を始めてから「野宿」は違反ではないが、外印象が悪い行為に心のどこかで少なからずの負い目を感じていた。それが気になるなら向いていないと思うが、今回のことで、「そうか。安いキャンプ地でササッと宿泊すればいいのか」と気付きを得れたことが大きかった。

気持ちも楽になり上越市へ移動。
先に深夜24時まで営業していたスーパーで晩ごはんを購入しキャンプ場へ。
ここでランタンの話となるが、テントを設営後にオイルランタンに火をつけようとしたが点火しない。燃料は満タンに入れていたはずなのにと思っていたが、中がすっからかん。倒れたわけではないが移動の振動で全部こぼれていた。なぜかランタンにパッキンがついていると勝手に思い込んでいたが、そもそもそんな物はなく、使う量を使用時に適宜いれるものだとこのとき初めて気がついた。人間は愚か。
念のためと1リットルのパラフィンボトルを持ってきていて良かった。

天気予報を見るとどうあがいても朝方は雨を避けられそうになくやや気分は下がる。ピンポイントで「今行くぜー」と小さな雨雲が避けられない位置まで近づいてきていた。しかし少なくともあと数時間は星空を楽しむことができると前向きに考え、夏の大三角形を見ながらお酒と焼鳥を楽しんだ。5本入りが半額だったけど多すぎた……。

焚き火をしていなかったので、食べて、飲んで、星を見ること以外することがない。
スマートフォンで何か見ようかと思ったが、これまた不運なことに持ってきていたAnkerのFushion 10000はバッテリーが死んでいて蓄電していなかった。そのためバッテリー温存のためスマホは使わないようにした。ナビ用のスマホは通信量制限があるため、諦めて星を眺めて過ごした。あれがデネブ〜アルイタイル〜ヒレフセイクズガーアンリミテッドサイコクラッシャー


DAY #02 新潟県上越市〜富山県黒部市

翌朝。予定通り雨がシトシトと降っていた。
雨雲レーダーでは1時間後には止むということで撤収をはじめた。普段のキャンプとは異なり設営した物が少ないため1時間半ほどで出発準備が整った。雨の中の撤収はテントを丁寧に畳めるわけではないから荷物が膨れ上がるかと思っていたが、思いの外カサが増えずバッグに収納できた。

昨晩電話で伺いっていたキャンプ場から見える建物に向かうと、どうみても普通の民家だった。どうも町内運営している場所らしく高齢の奥方が受付されていた。
夜分にも関わらずご対応頂いた感謝を伝え、利用料をお支払い。
また来てください。と言われたこともあるが、利用料1,000円で市内にあり、深夜まで開いているスーパー(蔦屋書店併設)が近く、何より利用者がそこまで多くなさそうなので飛び込み利用もできるのは、バイクツーリング野宿先として最高だと感じた。ぜひまた利用したい。

キャンプ場を出たあと、昨晩(黄金の湯)は体を洗っていなかったので上越妙高駅前の「天然温泉 釜ぶたの湯」へ向かう。(07〜23時営業)入浴料は480円。お安い。
11時に再出発し一路富山を目指す。

新潟県〜京都をつなぐ国道8号線は海沿いの道。
朝の雨雲はどこへやら、すっかり晴れ照りつける日差しが眩しい。そして日差しで煌めくどこまでも続く日本海の青い水面が美しい。
見飽きることもなく海沿いの道を走り続けた。

ボクは夏の空と海の色が好きだ。
モコモコとした積乱雲の白さ、青空、海のはっきりとしたコントラストが美しい。

青い空とコバルトブルーの海面が美しい

この日は富山県旭日町の「たら汁」が目当て。2018年に自転車で長野県から京都へ行ったとき、街道沿いで目にした「たら汁の町」という看板が忘れられなかった。
新潟県上越市から富山県に入るまで、道中の道の駅にはできるだけ立ち寄りスタンプを押印。それ以外は何も考えずのんびり走る。
バイクで走りながら思ったのは、「昔のボクよくこれを自転車で走ろうなんて思ったな…しかもよく走りきって京都へ行ったな…」ということだった。今もう一度やれ。と言われるとちょっとできる気がしない。もちろん自分よりも年齢が上の方が今も全国を自転車で旅をしているわけだから、できなくはないのだろう。しかし年を取り、バイクという楽を覚えた自分はもうだめなんだなーと感じた。
時の流れを止めることはできない。やりたいと思ったときはすぐに実行するのが大切かもしれない。いつかやろうは良くない。

栄食堂はお盆休み。別のお店でタラ汁を

出立が遅くなったせいもあるが、道の駅で道草ばかり食っていたら15時ごろに富山県旭日町に到着。ところがお目当ての栄食堂はお盆で休業中だった。
しょんぼりしながら辺りを見渡すと、唯一栄食堂の反対側にある「たから温泉」が営業していて、16時までは食事を提供中だった。せっかく来たのに食べれないのは嫌すぎると駆け込む。ところが受付に行くとなぜか中国の方が経営されていた。やや不安だったもののでてきたタラ汁の味は良かった。しかしタラが輪切りのままぶつ切りでぶち込まれていたのが妙に気になり、「漁師めしだしこういうものなのかなー」という気持ちと雑に形だけ模倣されて調理されているのではという感情が入り混じった。美味しかったけどもんやりという感想。
またいつか再訪し、栄食堂でちゃんと味わいなおしたい。

タラ汁定食 1,100円。付け合せの豆腐がおいしかった。

グリーンパークおおしまキャンプ場

お腹を満たした後、海沿いを走りながらこの日のキャンプ地を悩んだ。
休憩でこまめにキャンプ場を探していたものの、富山県の8号線に近いキャンプ場は町営・市営が多く16時までの受付がほとんどで到着時刻がギリギリ。
もちろんのんびりしている自分が悪い。しかし16時チェックインは必然的に富山県東側の宿泊となり、3泊目が能登と富山の中間になりそうだと不安になった。
そもそも昨日から100kmも進んでいないが?のんびりしすぎた。

悩んでいた理由は他にもあり、富山県にもいくつか「食べに行きたいお店」「見てみたい建築物」が点在している。そのうちの一つ「居酒屋 舞子」は孤独のグルメで登場し、主演の松重さんと原作者の久住さんがお気に入りだと雑誌で見たので、ぜひ行ってみたいと思っていた店だ。
「居酒屋 舞子」は富山市内にあるため、海沿いのキャンプ地からは電車で2時間と表示される。それならば富山市内のホテルに泊まっても良いのでは……と悩んでいると、富山市内から6kmの地点に常願寺川公園 HCCP3という謎のキャンプ可能な場所が目に入った。(野宿可能というレビューがある)それならばHCCP3をキャンプ地として入浴を高評価な金太郎温泉で済ませる。それならば予約がいらず自由な野宿ができる。これはありかもしれないとナビに目的地設定をした。(HCCP3から6km片道歩く必要はある…)

金太郎温泉を目指しバイパスを走っていると17時手前に「道の駅 KOKOくろべ」の案内標識が目に入り、まだ間に合うならこの日最後のスタンプを押印しようと立ち寄る。
「道の駅 KOKOくろべ」は真新しい施設のようだった。
周辺施設紹介コーナーを眺めていると、周辺施設発行のチラシが積まれていたので何があるのかと見てみるとキャンプ場のチラシが3種あった。その中の1枚「グリーンパークおおしまキャンプ場」は道の駅から近く価格が500円と書いてある。そして夏季はPM7時まで受付だった。まだ空きがあるならとダメ元で電話すると無事予約が取れた。
やはり宿泊地が決まるとひと心地ついたような感覚になる。
さっそく道の駅で気になっていた地ビール4本とおつまみを購入。

グリーンパークおおしまキャンプ場」は道の駅くろべから2km移動で到着。
入口の受付で料金を払った後、手早く設営を済ませ金太郎温泉へ向かった。金太郎温泉(日帰りはカルナの館受付)は想像以上に豪華な施設で、泉質は好みの硫黄泉だった。回転数を高めるためなのかお湯はやや熱め。湯冷ましように置かれていたリクライニングチェアーで横になり旅の疲れを癒やす。とても快適に過ごすことができた。(利用料1,100円)

入浴と洗濯を済ませたあと、キャンプ場に戻り晩酌。
調子に乗って地ビールを4本購入したものの、2本飲んだ時点でかなり満足してしまい、まだ残り2本ある……ともんやりした気持ちになりつつ頑張って飲んだ。もうお酒を大量に飲めなくなっているのかもな……と昔は当たり前のようにできたことができなくなっていることを少しさみしく思った。あとクラフトビールは飲みごたえがあるので次は2本までにしようと心に決めた。

さて今日も早く寝るかーと21時ごろ寝床につく。
しかし問題はここからで、前日に収納するときに下手をしてしまったのかスリーピングマットが寝て1時間後にぺしゃんこになり、背中の違和感で起きるはめになった。
幸いキャンプ場は土と草の上のためスリープマットなしで寝れなくもないが、疲れが十二分に取れるかというとそれはまた別問題。なにかの間違いかなーと祈るように何度も空気を入れては寝るを繰り返したが、どこかに穴が空いてるらしくどうやっても30分ほどで空気が完全に抜けてしまう。諦めて暑くて使っていなかった寝袋を敷いてこの日は寝たものの、翌日以降を考えると気持ちが暗澹とした。

おまけに虫除けにランタンをつけたままにしていたら、風でフライシートのペグがぬけてしまい、オイルランタンの熱で前室部分が少し溶けてただれる形で10cmほどの穴が空いた。
泣きっ面に鉢……。人間は愚か。

DAY #03 富山県黒部市〜石川県七尾市

翌朝も雨の音で目が覚めた。
眠りが浅かったこともあり、雨脚が弱いうちに出てしまおうかと思っていたら本降りになった。穴が空いたスリープマットの相談をするため、近場のモンベルストアを探してみると10kmほど先にモンベルヴィレッジ立山があった。
ちょうど営業開始も10時だったので、雨雲が通り過ぎたころに撤収したら、ちょうど開店時間に到着。富山県にモンベルはこの場所にしかなく、次は石川県の金沢市内だったので運が良かったようにも思える。

早速相談するも「店頭で修理受付はできるが修理対応はできない。ただ水を貯めれるケースをお貸しするのでご自分で修理は可能です」とのこと。お言葉に甘え、水に入れて穴を探すとすぐに見つかり、やはり小さな穴が空いていた。
さっそく修理を試るも、ここでまたやらかしてしまう。
「箇所から同心円状にややパッチよりも外になるくらい接着剤を塗り」を読み、「え、パッチよりも外になるくらい?」がひっかかり、パッチの外周部分だけ接着剤を塗りパッチを貼ってしまった。パッチ自体にノリがついていたがこれで十二分だろうか、とだいぶ不安だった。

なんだかんだでモンベルを使っていて良かったと思える瞬間だった。

マニュアルには完全接着まで8時間と書いてあるのであとは祈るしかない。
修理中はテントと寝袋を駐車場で干せたことも良かった。さすがに強い日差しと高い気温でからっからに乾燥させることができた。ついでにフライシートも修理パッチを購入し修復。
スリープマットが無事使えることを祈るしかない。
店員さんに無理をお願いしたにもかかわらず親切に対応頂いた感謝をしつつ退店。
不安はあるものの能登半島を目指した。

白えびバーガーと海、そして被災

国道8号線に戻り能登半島を目指していると、「道の駅 カモンパーク新湊」の案内標識が見えたので立ち寄り。富山の特産品白エビを使った「白えびバーガー」がTVで紹介され人気と合ったので食べてみた。味はよくわからない。白エビの味を知らないから美味しいのかどうかもよくわからない……。

次は「道の駅 氷見」に立ち寄ることにした。
信号に道の駅の案内標識もあるし、ここだろうと判断し施設に入る。
入口に「ひみの海探検館」とあったが、併設なのかなと氷見の定置網の解説や、富山湾に生息する魚の種類を見ていたが、ふと「あれ、道の駅に多くある特産品コーナーとスタンプはどこだろう?」と気付き、受付で聞くと「道の駅はこの先です」と勘違いだったことに気付かされた。

バイクを移動させ、今度こそ「道の駅 氷見」に到着。
こちらは富山でも人気の道の駅のようで、番屋街という店が連なった施設になっていた。どこの店舗も呼び込みに活気があり、人の多さもあるため賑わっているなーという印象だった。
せっかくならこっちで昼ご飯を食べればよかったと少し後悔した。

氷見からはいよいよ能登半島だなーと思いながら走っていると、道路沿いの家屋に「調査中」「危険」といった状態を書いた張り紙が目についた。
はじめは「解体物件なのかだろうか?」と思っていたが、通りの家屋すべてだったので「そうか、震災の影響で……」と気づいた。もうここから被災地なんだな……と改めて気付かされた。

城ヶ崎。見附島を思い起こさせる美しい佇まい。

氷見から県道160号線を通り北上。
日も暮れつつあるので、キャンプ場を決めないとなーと思っていると、「道の駅 いおり」に「ハートランドヒルズin能登@いおり」の看板があったので、サイトを見てみる。あいにく満員のようだったというか人気のキャンプ場のようだ。
一応前日からいくつかチェックはしていたものの、能登半島右側のキャンプ場は能登島に集中しておりGoogleMap記載のWebサイトやレビューでは、町営はどこも早い者勝ちで予約制ではないようだった。そうなるとこの時間は厳しいかなーとさらに地図を見ていると、「能登島家族旅行村Weランド」が目に止まった。こちらはWbeサイトを見るとキャビン棟以外は利用できそうだったため、さっそく電話してみた。
「ご利用は可能なのですが、ただ受付が16時までとなっておりまして……」と言われ、慌てて時計を見ると15時半……これは無理か。と思っていたら
「いまどちらに?」
「道の駅 いおりです」
「であれば17時まではお待ちしておりますのでお越しください」
とありがたい言葉を頂けたので、急いで向かった。

道中、「道の駅 能登食祭市場」が右手に見えたが、「さ、さすがに?待たせといて、それはさすがに?」と後ろ髪をひかれつつ見送った。また来ればいいんですよ…。

能登島家族旅行村 Weランド

キャンプ場へは16時半に到着。
お礼を伝えつつ受付と利用説明を聞く。
この日はテントサイトは区画(第1オート)かフリーサイト(芝生広場)を選べるようで、フリーサイトの方は少しトイレと炊事場が遠いとのことだった。(1泊1,210円 / 売店で薪は700円でキャンプ用品の販売は結構充実していた)

WeLand 施設マップ

はじめは第一オートで設営をした。
ところが目の前の第4オートでパーリーな方々が何故か大声で大熱唱しながら音楽をかけていた。音楽プレイヤー・楽器・スピーカーは使用禁止です。と受付で説明されても高まった気持ちは抑えきれない。仕方ないよなぁ?

その後トイレに行ったときに目に入った芝生広場が気になり足をのばすと、奥のほうにテントが一つ設営されただけで、誰も使っていない広大な場所が広がっていた。
いや絶対こっちの方がいいやん。海も空も最高すぎる!と迷わずテント移動した。
ボクは静かに海と星を眺めながらキャンプしたい。

一応、雨と朝の日差し対策に中央の木の下設営。この絶景を独り占め。

島に1軒だけあるコンビニが19時までらしく、設営後に食料の買い出しに向かった。お風呂の候補にしていた「ひょっこり温泉 島の湯」も食堂併設だったため、晩ごはんはそちらで食べることにして、地酒350mlを1本購入し温泉へ向かった。

Webサイトでは併設食堂は19時閉店とあったが、夏休みの期間は20時まで延長されていた。それならと先に入浴し気持ちよくご飯にありつくことができた。
メニューを見ると価格は1,200円〜1,800円の定食になっていた。せっかくならと高い物で還元したいと考え1,600円の地元飼育豚の生姜焼き定食にした。さらに小鉢もと思ったが、小鉢はすごい安い値段で2つで300円だった。(ナスのおひたしとホタテ焼き)

能登島豚しょうが焼き定食と茄子のおひたし、ホタテ焼き。

島のおばあちゃんが作るご飯は美味しい。
なんとも優しい味がする家庭の味だ。まるで田舎に帰ったときの気持ちになれた。お腹も心もとても満たされる。被災されている中で大変と思うものの、無理しない範囲で頑張ってほしい。

暗くなった道を走りテントへ戻ったあとは、日課になった星空を見ながらのお酒。
丘の上ということもあり眼の前を塞ぐものが何もない満天の星空。
なんて素敵なキャンプ場だろうと感動した。
薪も売っていたので、焚き火台を持ってきていればとも思いもするものの、キャンプが目的じゃないから、これはこれで良いなと感じた。

21時くらいに寝ようと思い、修理したスリーピングマットに空気6部くらい入れてビクビクしながら寝っ転がると、無事に空気は抜けることなく体を支えてくれた。
これで今日は安眠できるーと思って寝ていたらオタクイキリグループがなぜか近場で大声で騒ぎ始めた。さすがにうんざりしてため息をつきながらトイレに行き、戻ってきたら居なくなっていた。その後遠くで大声でイキリちらしていたのが聞こえたので、第1オートで設営しなくて本当に良かった。

DAY #04 石川県七尾市〜石川県志賀町

翌朝は快晴。
この日、まずは「のとじま水族館」にいくつもりだった。
キャンプ場のお隣だったこともあるし、被災したことで設備に深刻な影響もあり目玉だったジンベイザメもいなくなってしまったことで訪問者も……という事情があり復興支援として是非もなく訪れようと思っていた。
開館は9時なので、何をして過ごそうとおもっていたら、受付でもらった地図にランドリーも利用可能ですと説明を受けたことを思い出し借りることにした。キャンプ場にあるまじき乾燥機付き斜めドラム洗濯機。洗剤も自由に使ってよいのに利用も無料。ありがたすぎる。

開館までまだ時間に余裕もあったので丁寧に出発準備をしていると、広場のもう一人の利用者が声をかけてきた。曰く「自分も東京からきた」「珠洲と輪島にいってから金沢へ行こうと思っている」とのことだったので、自分の経験から「珠洲に行くと輪島につくのは日暮れになってしまう」「被災で迂回が多いためさらに時間がかかるかも」と伝えた。
実際ボクも珠洲へは見附島を見に行きたいと思っていたが、あの美しい姿はもうなく、崩れた悲しい姿を確認しに行くのはちょっともったいない気がしたので、思い切って前回の訪問時に全く行けなかった能登半島西側海岸沿いを行くつもりだった。
その後は、お互いの旅の無事を祈り別かれた。

チェックアウトするとき、西側の海岸沿いキャンプ施設が満員の可能性を考えて、もう一拍可能か?と受付で尋ねると可能とのことだった一応申し込みとお金を払っておき、「だめそうだったら利用させてください。大丈夫そうであれば、そのお金はそのままお納めください」と伝え出発。

のとじま水族館

現在は入場料が特別1,000円となっているためか、予想よりも多くの来場者で賑わっていた。
入口すぐの大きな縦型水槽は目玉だったジンベエザメが泳いでいたはずだが、今はエイが「オレが主役」といわんばかりに自由に泳いでいた。

島の水族館だから小さいのかなと思っていたら実際の施設自体はそれなりに広く、展示も多かった。何よりところどころに被災直後の話が掲載されていて、その時を苦労を思い起こさせてくれた。
まだ他施設に預けて戻ってきていない生き物もいるようで、一日も早く以前のように復興して欲しいと思う。面白かったのは震災直後でもペンギンは普段通りで餌が遅いことに怒っていたとか。また各地からの復興支援・同じ水族館からの寄贈への感謝も多く、優しい世界が見えた。

のとじま水族館は大きな回遊水槽の展示が多く、ブリ・ハマチなどの普段食べる魚が泳いでいるのを見ていると、綺麗とか何より「美味しそう」という感想が湧くのはお腹が空いていたせいだろうか……。


道の駅 穴水

能登島は七尾大橋とツンブリッジ(中島町)で本島とつながっている。しかし現在は震災の影響でツインブリッジは危険があると判断され通行ができない。そのため行きと同じく七尾大橋を通り能登半島へ戻る。

大橋を渡り本州に戻り、すぐに目についたドラッグストアでキャンプ中ずっと悩まされていた蚊と別れを告げるべく蚊取り線香を購入。(キンチョーの30枚入りがコンパクトだった)
効き目抜群の「アース渦巻香 プレミアム」が間違いはないだろうけどデカい缶パッケージしかない。なんで持ってくることを怠ったのか……。(ランタンでいけると思ったから)

その後は道沿いの看板で気になった「みそまんじゅう本舗」で能登銘菓の味噌まんじゅうを食べる。「こういう現地の和菓子屋の支援も大切だよなー」という軽い気持ちで立ち寄ったら、とても美味しく、さらにお客さんも結構な頻度で訪れ大量に買われていた。日持ちしないためお土産にできなかったもののとても美味しかった。白あんのおまんじゅう好き。

この日、被災地の中心ともいえる輪島町に行くかどうするかを前日から悩んでいた。復興最中に観光で訪れるのはまだ迷惑なのではという気持ちがあるものの、実際の被災地を間近で見たいという気持ちもある。復興渋滞とかがないなら……と自動車道で北上していると「道の駅 あなみず」と見えたので、立ち寄ろうと越の原ICで降りた。
ICを降りると案内標識に「来迎寺」とあり、今回は祈りの旅にしようと数珠を持ってきたこともあり向かうことにした。

ICからほど近い場所で山が大きく地すべりし木がなぎ倒されているのを目にしたとき、この付近が震源地近くの被災地であること強く感じた。
そこから3分ほどGoogleMapの説明文に「境内の庭園が美しい寺院」と紹介されていた来迎寺に到着。夏だが暑すぎてセミもあまり鳴いていない。その静けさがかえって不気味だった。

入口の門に近づくと金剛力士像が大きく手前に傾いていた。
寺院はまさに「荒れ果てた」という惨状で、境内の石仏は様々な方向に倒れ、灯籠もなぎ倒されていた。ここから震災前の状態に戻るには、一体どのくらいの時間とお金が必要なんだろう。早くもとの生活に戻れるように、これ以上の災害が起こらないようにと祈った。

延迎寺から道の駅 あなみずは5分ほどの移動で到着。鉄道駅と道の駅が併設された小さな施設だった。施設内には地元工芸・特産品売り場には輪島塗がいくつか展示されていて、その一つに漆器ぐい呑みが11,000円で売られていた。
ここで買うか、それとも震源地近くの輪島町で買うかを悩む。
金額は復興支援をしたいと考えていたこともあるし、何よりテント泊で宿泊代が浮いているので問題ない。どうしたものか、と悩みながらソフトクリームを食べてぼんやりとした。

道の駅の外壁には輪島町の復興状況を写真で伝えるポスターが貼られている。そこからうかがえるのは、まだまだ復興ははじまったばかりという状況に思えた。そんな中に観光はまだお邪魔と考え、またいつか再訪することにしてぐい呑みを購入した。

大本山總持寺 祖院

輪島町へ向かわないことを決めたあと、大本山總持寺 祖院を訪れた。
こちらは震源地により近いこともあったが、巨大な歴史ある建物が崩れて、傾き、ブルーシートで覆われていた。「これは復興できるのだろうか……」そんな感想しかでなかった。
途方もない修繕費用が必要になりそうだが、復興が必要なのは寺院だけでなく、付近の門前町も倒壊・崩壊・傾いた家屋ばかりだった。
もし自分の住居が被災したらと想像したが、どうにもならず途方にくれそうだった。
「被災地の方に応援メッセージを」という言葉はよく目にするけど、実際の被災地の方々が毎日目にするこの後継に、遠く安穏と暮らす人々の声が一体どれだけの励ましになるのか。
「同情するなら金をくれ」という言葉が頭を掠める。
山門から伽藍をしばらく眺めながらそんなことを考えた。
世俗的だが、解決にお金がかかり、お金で解決するしか方法がないことは世の中にあふれている。千羽鶴や気持ちなんてなんの役にも立たない。

いつかやりたいことの一つに、寄付をすると画面上で鶴が折られるアプリを作りたいなーと思っている。金額に応じて鶴の大きさや色が変わる。そしてある程度の金額が集まったら千羽鶴としてまとめて寄付される。出来上がってる千羽鶴のどこに組み込まれましたよーというのも表示され、追い課金でアップグレードも可能。目立ちたいならもっと課金しよう!という身も蓋もない世俗要素も忘れない。
もっとも問題は課金方法と決済手数料で、うまい解決策が浮かばない。うまく手数料なしで課金できて、手数料なしで全額振込みができないかなーという気持ち。
折り紙じゃなくてお札で鶴折れよってのが根底発想。千羽鶴折りたい気持ちも維持できて、送る方も貰う方もニッコニコじゃない?という。

寺院を出たあとは海沿いの国道249号線を南下する。
視界右側には夕暮れに傾きつつある空と遮るものもなくどこまでも続く日本海が美しい。
しかし左側には倒壊・崩壊・傾いた家屋が軒を連ねる悲しい光景が広がる。
道沿いに地元自治体の「家屋相談所」と「解体は最後の手段!諦めないでください」と書かれた看板がでていた。
SNSやYoutubeで「もっと安全な場所に移住したほうがいいだろ」みたいなコメントを多くみるが、こんな光景を間近に見たらそんなコメントができるだろか。少し前まで自分たちとかわらず当たり前のように暮らしてきた場所が「今日からは危ないので引っ越してください」といわれて「はい、そうですか」とはならない。「なんとかならないのだろうか」という気持ちのほうが強いのは誰しもが思う当たり前の感情だろう。
しかし自分にはこの光景をもとに戻すこともできなければ、手伝うこともできない。
ただの一般人の力なんて、ほんとうに小さく無力だ。
寄付や義援金、復興支援として訪れるお金を落とすくらいしかない。それでも訪れる人の中にも心無いお客様気分の人もいる。道の駅のトイレで「被災地にゴミを捨てていくな」という張り紙があり、なんとも心に強く突き刺さる言葉だった。他人のふり見て我がふり直せと背筋を正される。

「道の駅 赤神」は被災地のためか営業していなかったのでスタンプだけ押印。
そのまままた道を走っていると「ヤセの断崖」の案内標識があったので国道249号からはずれ、海沿いの県道49号に入り立ち寄り。バイクを降りて写真を撮ろうとしたが、断崖が怖すぎて及び腰だった。高所恐怖症が辛い。

増穂浦海水浴場

県道49号線を走り終わり、また国道249号と合流する手前に「能登リゾートエリア増穂浦」があった。横目に見ているとテントがいくつか立っており、「そういえば、ここ自治体のキャンプ場があったなー」と昨晩キャンプ地を調べたときに目についたのを思い出した。
まだ16時手前だったこともあり、「もしかしてまだ舞える?」と急ぎUターン。
開いている事務所で予約していないのですがと尋ねると、利用可能とのことだった。GoogleMapのレビューでは結構人気のある場所のようだったので、利用できれば良いなーとほぼ諦めていた場所だ。渡りに船で助かるー。

フリーサイトや林間サイトの他、デッキサイトも空いています。と言われ、撤収が楽そうだからという理由でデッキサイトにした。「両隣があいてる7番が良いと思います」の案内のまま料金3,400円を支払った。

早速設営と思って7番のデッキに行くと、両隣にテントが設営されていた。しかもかなり大きいファミリーテントが。
「あれ利用ないはずでは……」と思ったが、忘れているのか、勝手に利用しているのかどっちかなので気にするのを辞めた。むしろこれで6と8だったら、ちょっと気まずいことになっていたので、ちょうどよかったと思うことにした。ハッピーエンドやね。

設営後、この日昼ご飯もお店がみつけられずとっていなかったのでキャンプ場近くの「道の駅とぎ海街道」に向かったが、16時すぎとあって何も残っていなかった。もちろん併設の食堂もしまっていた。適当に自酒350mlを1本購入し、食事ができる場所を探すため外にでた。

GoogleMapでそれなりに多く店が営業中と出たので向かってみたが、どこも営業しておらず店の入口には張り紙で「診断中」とあった。被災地だから建物自体が危ういのをすっかり失念していた。それはそうだよな……と行きがけに開いていた「いさりび 菊や」に入る。
一番高い定食メニュー(川魚塩焼き+お刺身定食)でも2,000円だったのであまり悩まずそちらを注文。復興支援という名目なので極力高い物を注文。

サザエ付きでお値打ち

食事後、近場で入浴施設を探すと、道の駅すぐ横に「シーサイドヴィラ渤海」が日帰り入浴で利用可能だった。しかもこの日は半額DAYとなっており通常600円の入浴料が300円だった。

入浴後はテントに戻り、さっそく蚊取り線香とオイルランタンに火をつける。
ここ数日は蚊に悩まされていたが、さすがに盛大に蚊取り線香を焚いたことで安寧を得た。
日没までに戻れなかったため、水平線に沈む太陽を見ながらとはいかなかったが、徐々に暗くなる水平線をボーッと眺めながらお酒を楽しんだ。
海沿いのデッキサイトは初めて利用したが、デッキの効果か涼しく快適だった。

DAY #05 石川県志賀町〜石川県金沢市

早起きして海辺を散歩

5日目は本当に予定もなく、今日くらいは金沢のホテルで寝たいなーという気持ちだった。
余裕があれば金沢市にある「金沢海みらい図書館」と「金沢県立図書館」に行きたいとおもっていた。どちらも建築物としてデザインにとても興味があるので行きたい場所として保存していた。

まだ7時前だったので、付近の家族は寝ている中撤収準備を始めた。
4回目ともなると慣れたもの、はじめは2時間近くかかっていた撤収準備も1時間ほどで済むようになっていた。あとはやはりデッキサイトは撤収し易い。

能登金剛と巌門

8時に出発し、また国道249号線を南下。
しばらくすると「能登金剛」「巌門」という案内標識が見えてきたので、またしても寄り道。当然まだ朝早いので遊覧船も施設も開いていなかったが、散策はできるようで見物台に行きいくつか写真を撮る。遊覧船のりばまで降りていく階段はフナムシさんたちがワッサワサだった。
階段をを戻ると、巌門への洞窟とあるがフナムシさんたちが蠢いていた。かなり勇気を出して、進んだ先には美しい巌門が待っていた。
しかし、これ帰りもまたあの洞窟を……と周りを見ると迂回路があった。あるんかーい。あるんかーい……。
迂回路を登り切ると9時をすぎたためか茶屋が開店していたので、かき氷を注文。
もっと本当はお金を能登半島で使おうと思っていたはずなのに、思うように使えてないもどかしさを感じる。とはいえど欲しくないものを買うのもまた違う気がしていた。

妙成寺 / 氣多神社

巌門を出たあと、のんびりと極力海沿いになる道を選びながらゆっくりと走る。
遠くには延々と続く青い海原。その手前には濃い緑色の作物畑。そして青空と白い積乱雲。
日が高くなったことで太陽の熱を感じるものの、このいかにも「夏」というイメージ通りの光景の中をゆっくりと走る。まったくもって急いでいないし車通りもまばらなので、およそ乗っているバイクのイメージとは程遠いトロトロした速度で走った。ボクはこのバイクでこの速度で走るのが嫌いではない。セカンドギアで3000回転を維持し時速30〜40km。パワーバンドは3000回転からなのでその回転域であればノンビリ走っても良いという懐の広さがある。バイクはギクシャクしないし、ふらつきもしない。すっかりと愛着が湧いた信頼できる旅の相棒だ。

「道の駅 いおり」で取得した石川県観光案内で、妙成寺と氣多神社は能登半島の見どころとなっていたので立ち寄りたいと考えていた。
妙成寺では拝観料500円を払い見どころと書かれていた境内を見て回る。有名な五重塔近くには近隣の方のお墓があるためか、お墓参りに家族で訪れている方が大勢いた。「お盆のお墓参りは山奥にあったりで大変だ」「最近の若い人はお墓参りにいかない」等、色々な問題を耳にすることはあったが、少なくとも妙成寺に訪れてお墓参りされていた家族は先祖を大切に思い笑顔で楽しそうだった。

妙成寺からほど近い氣多神社にも立ち寄る。
縁結びの神二柱鎮座の神社と見ていたので、知人用に何か出会いにつながるお守りでもと思い社務所をのぞくと出会い守りがあったのでそちらを購入した。

参拝後に、さて行くかーと忘れ物を確認すると、いつの間にか相棒の人形を紛失していた。またかよーと境内を探しに戻ると、入口付近の植木にどなたかが置いてくれていた。ありがたい……。あと人形は勝手に途中下車するの辞めて欲しい。なんか工夫しないとまた失くしそう。

氣多神社を正面から

千里浜なぎさドライブウェイ

氣多神社を出たあと、海沿いを走る道(のと里山海道)で南下。
すぐに「道の駅 千里浜」の案内標識が見えたので立ち寄る。
能登半島も残すところあとわずかという場所まできているたため、「能登半島のお土産」を買うことに決めた。

しかしその前に何かお昼ご飯をと考えていると、「お魚屋さんが作った巻きすし 特上!おすすめ500円」と「イノシシ肉のカレーパン」が目につき購入。
道の駅内の食堂も魅力的に思えたが、夜に行きたい店として保存していた4000円ほどで選んで指定巻分食べ放題の寿司屋(金沢市 魚がし 寿司)にいくつもりだったので、軽くジャブ程度につまむのがベストだと考えた。

ホテルの予約をしながら巻き寿司を口に放り込んだら、あまりの美味しさにのびっくりした。米のもっちりとした歯ごたえ、具材の調和の取れた旨味が一つになった素晴らしい味わい。これが500円。え、もう一個……と思ったが、「いやいや夜もお寿司だよ」と自分を諌めた。
なんならこのお寿司が旅の中で一番おいしかったという気持ちですらある。
旅はこういう突然の美味しいものと出会いがあるから好きだ。

あまりの美味しさにびっくりした巻き寿司

ホテルを予約してほっと一息ついたあとはお土産を大量に購入。宅急便で自宅に送ることも少し考えたが、なんだかんだでパニアケース収納には余裕があったので、整理しつつ持ち帰ることにした。
整理していると他のバイク乗りの方の会話で「気持ちの良い道だった」「走れて良かった」という内容が気になり付近を調べると、なんとなくは知っていた海沿いの砂浜を走れるという「千里浜なぎさドライブウェイ」の入口だった。

「千里浜なぎさドライブウェイ」は全長8kmの走行可能な砂の道だ。
Ducatiのディーラーが毎年「SSTR(サンライズ・サンセット・ツーリングラリー)」を開催していてイベントレポートを読んだことがあるため、ゴール地点の砂浜を走る場所が石川県にあることだけは知っていた。
「あ、ここがそうなのか」と驚き、せっかくだからと走行可能か調べると、この日は走行可能となっていた。(いつも走れるわけではなく、砂浜の状況による模様)
せっかくなのでこの機会に走っておくことにした。

文字通り海のすぐ横を走るというのは、本当に面白い体験だった。
もちろんオフロードバイクであれば可能だろうけど、オンロードバイクで砂浜を走るという稀有な体験は印象的だった。
「千里浜なぎさドライブウェイ」の砂浜は砂の大きさが0.2mmで同じ大きさの砂が集まることで海水を含みやすく固くなるようだ。(ダイラタンシー現象:ゆっくりさわるとドロドロで素早く叩くと硬い)この海水を多く含んでいるエリア見極めて走ることでオンロードタイヤでも走行可能なようだ。
思いがけずなかなかの特別体験だった。

石川海みらい図書館 / 石川県立図書館

千里浜なぎさドライブウェイのあとは「のと里山海道」を再南下。道中「道の駅 高松 里海館」に立ち寄ったあとはホテルまで一直線だった。
この日のホテルは金沢駅近くの「金沢セントラルホテル」にした。アパホテルなどもそこまで価格に差があったわけではないが、どうせなら全国チェーンよりその土地にしかないホテルをと選んだ。(1泊5,000円)

久しぶりのホテル、やはりエアコンの快適さを感じる。
石川海みらい図書館と石川県立図書館をGoogleMapで調べると、バスだと50分ほどで車でいけば15分。そして図書館は金沢駅を中心に北と南に別れていた。
気持ち的にはバスで行って「魚がし 寿司」にそのまま……と思っていたら、「魚がし 寿司」は営業開始が明日の11時となっている。
木曜定休日だった。
ボクは膝から崩れ落ちた。

それならバイクで行くかと開館時間を調べると、石川海みらい図書館のレビューが苦言まみれだった。「外観は良いけど、中は撮影できない」「してはいけないことばかりが張り紙にあって息苦しい」等。とはいえど百聞は一見にしかずと向かうことにした。

特徴的なパンチホール型の光を取り込む窓。世界の美しい図書館100選に選ばれている

金沢海みらい図書館は県道8号線のバイパス沿いにあるため、県道17号から向かうなら手前の小道に入ったあとあらためて県道8号線の一方通行の方に入らないといけなった。図書館の施工があとのはずだから正直利便性が凄まじく悪い。車での利用を考えていないのだろうかとも思ったが、ここまで市街地から外れたところにあり自動車・バイクで15分は自転車で向かうにしても距離があるように思える。つまり不便だ。おまけに駐輪場は自転車とバイク共通になっていて、これまたなんとも大型バイクは駐輪しづらい。しかし駐車場も満車なので致し方ない。

まずは外観を撮影し、施設内に入る。
まだ夕暮れ前だが館内は薄暗く、点在する天井のダウンライト照明が室内の明かりになっていた。
入口のゲートを通ると飾り気のないスチール棚の書架が並んでいる。1Fは児童向けとあって背の低い書架が整然と並んでいたが、2Fはよくある背の高い書架が並んでいた。また2、3Fは吹き抜けになっていて、壁を見ると天井まで続く壁に、外から見えていたパンチホールの採光窓が並んでいた。高い吹き抜けの天井にダウンライト照明がある。夜になったらこれだいぶ暗いのでは?という印象だ。

全体的に館内が無機質で寒々しい。入口に貼られた禁止を促す多くの張り紙、薄暗い室内、スチール棚とコンクリートの施設。研究所であれば良いが、図書館として利用したいか?といわれたらあまり来たくないという印象。居心地も良くないし、設計も外側だけ良くて中は創意工夫も感じられないただの施設に感じたので、早々に退館した。

そして駐輪場から出るときは、入口と反対の路地裏を通された。さすがに場所悪すぎない?
全体的に導線設計も内部設計もあんまり良くないなと感じた。名前の良さと反対に暗い図書館というイメージ。未来はお先真っ暗ですの暗喩ならパーフェクト。120点。

なんかがっかりだなーと期待していただけにもんやりした気持ちで反対側にある石川県立図書館に向かった。県立図書館も金沢駅からはかなり距離がありこちらも駅から15分ほどで到着。
真新しい金沢美術工芸大学の前に県立図書館はあった。

中に入ると海みらい図書館とまったく異なり外観のコンクリートづくりから一転し、木材が多く使われ、暖色の室内灯もたくさんあって明るく温かい。
入口で撮影見学を尋ねると快く許可頂いた。
海みらい図書館と違い入口に「禁止行動」といった張り紙もなく、催し等のチラシが多く置かれていた。すでに雲泥の差だ。

そして、館内に入ると素晴らしいの一言だった。
円形に広がる空間は、スロープと階段で構成され、スロープを歩きながら登っていくと司書おすすめの本の表紙が目に入る。

スロープには一人掛けのソファがあり、気になった本をすぐに読むことができる。また本棚と本棚の間にも座るスペース、机があり快適な読書空間となっていた。
何より本を表紙で飾っている割合が目を引く。本屋の数が減り、本との出会いというコンタクトポイントが減ってしまった現代では、そもそも多くの本が「知られないまま」となっている。どんなに良い本も手に取られない限りは読まれない。そして本という出版物はその本の魅力を伝えるために表紙・背表紙などで意匠が凝らされるが、残念ながら背表紙でその本の魅力を伝えるのは難しい。やはり表紙を見て欲しいのだ。
本が面白いかどうかを判断するためには表紙を見る。そこが最初のコンタクトポイントだと正しく理解した設計。一昔ならいざ知らず、現代はこの形でなければ人は本を読まない。自分が読みたいと思える本を誰も教えてくれるわけではないし、自分も本に興味をもたなければしるよしもない。本に興味がない人でも訪れて本を読むかという気持ちにさせる石川県立図書館は、まさに100点満点の図書館だと思う。ボクが近くにいたら毎日入り浸る。

また書架が円形ホール型の階段になっているが、後ろ側の空間は、勉強スペース・催しスペース・会議・セミナールーム・3Dプリンターの工作室となっていて、ほとんど無駄がない。本を手に取り図書館で時間を過ごすことに最適化されている。ちょっとした場所にすぐ机と椅子が用意されていて、学びの場所を強く意識させられる。

また禁止などされていなくても、話し声は静かだし、利用者は公共のマナーを各々が理解している。公共のスペースは社会性を学ぶ場所でもあるので、この図書館はまさにお手本のような場所だと感じた。
また図書館入口には喫茶店もあり、本当に居心地が良い。ボクここの子になりたい。

図書館から出たあと対照的な図書館だったなーとやや興奮しながらホテルに戻る。
しかし晩ごはんを求めて金沢駅に行くと、ちょうど夕食時だったためどこも行列で夕食難民となる。「ついにコンビニご飯の封印を解除するときが……」と思っていたら、駅構内のスーパーで半額のお寿司(石川県の魚を使っています!)が目に止まり、ホテルでパック寿司を食べた。やや悲しい味だった。そして茄子の味噌汁を作るのに、やっと持ってきていたガスバーナーとケトルが役に立った。

DAY #06 石川県金沢市〜小松市〜白山〜湯桶温泉

翌朝も早めの8時頃に出発。
まずはガイドブックで名刹とあった那谷寺を目指した。
その道中の小松駅付近に「Komatsu 九」という九谷焼や歴史の資料館もあるとのことだったので、こちらも立ち寄る。

NOTO, NOT ALONE

新幹線が通るようになったおかげで大きく改修された小松駅は近代化されていた。
真新しいカフェには、最近流行りのクラフトビールもあったが、その中で目についたのが「NOTO,NOT ALONE」というロゴだった。
被災された穴水町出身のデザイナー「竹野順子」さんの作品で、社会福祉法人佛子園が復興プロジェクトを行われており、そのロゴとして起用されている。
とてもデザインが気に入りステッカーを購入。
早速パニアケースに貼り付けた。(この投稿のアイキャッチ画像)

那谷寺

小雨が降っていた那谷寺

名谷寺は噂通り美しい名刹だった。
仏教は宗派によってかなり解釈が異なるため、理解することが難しい。ボクはGWで見た空海展と父親がたまたまお遍路巡りが好きで密教に傾倒していたこともあって、密教の下地のような知識ができていた。そのため那谷寺は伽藍の良さがわかりやすく面白く感じることができた。
自然信仰自然知の名の通り岩を顔に見立てた三尊石、奇岩遊仙境は極楽浄土の世界を見立てた構図が見て取れる。庭園の美しさと自然への敬意を感じる見事な名刹。
小雨だったこともあり、山門から続く苔の色鮮やかな緑すらも美しかった。

拝観後は茶屋でみたらし団子を食べながら、このあとを考える。
もう一拍できなくもないけど土日を休息日とするべく帰路につきたいと思い、岐阜が近くなる白山の白山比咩神社に向かうことにした。その後はせっかくだし白川郷に抜けていこうと考えた。幸いルート検索すると小松バイパスで30分ほどで到着とあった。

白山比咩神社 / 浅の川温泉 湯楽

小雨が降ったり止んだりの中を移動し、白山比咩神社へは15時頃に到着した。
お参りしたあと、最寄りの道の駅に向かい白川郷へのルートを検索すると、すぐちかくにある「白山白川郷ホワイトロード」をルートで選べず、富山県を経由しようとする。
なぜに?と調べると、「白山白川郷ホワイトロード」は二輪通行禁止となっていた。読み進めると権利者が二輪嫌いだからとでてきた。気持ち良すぎる。
とはいえどイキリちらした二輪ライダーが事故りまくりそうというイメージは的外れではないので保全を目的という観点でも間違った判断ではないと思う。嫌われるにはちゃんと理由があるもんだ。

諦めて最後にどこか温泉に寄って帰りますかと付近を探すと、「浅の川温泉 湯楽」の評判が良かった。30分ほどの移動で到着した「浅の川温泉 湯楽」は公衆浴場で安価な上、3種類の異なる源泉で泉質もよく楽しむことができた。
「いいお湯だったなー」と湯冷ましがてら付近を調べると、何故か「花咲くいろは」のポスターの話題と写真がちらほらでてくる。そういえばあれ石川県が舞台だっけと思い調べると、舞台設定がこの「湯桶温泉」だった。そして案内所に色々と展示があるようだが営業時間は17時までと、ちょうど終わったところだった。なんともがっかり。

石川市内に戻り高速入口が近づいてきたころ、ここまでの移動でご飯を食べそこねていたのを思い出し「金沢といえばやはりゴーゴーカレーよなー」と立ち寄る。別に秋葉原でも食べれるけど、やはり本拠地で食べてこそ……。最近、旅の終わりになんとなくカレーを食べる習慣ができてしまっている。
ここで迷わず大飯!とやると間違いなく糖質スパイクで死ぬと考え、控えめにしようとしたが「そのときはそのとき寝よう」と脳内もちづきさんが囁いたのでカツカレー大を注文。カロリーを調べたらとんでもない数値だったので見なかったことにした。
美味しいものは糖と脂肪でできている。


その後は金沢森本IC前で給油し高速に乗り込んだ。
いつもなら「旅の終わりだなー」と沈みゆく夕日を見ながら感慨深くなるのだが、さすがに事前にルート検索したときに550kmという数値を見ていたので、敗戦処理に向かう兵士のごとく「適度に頑張るかー」という気持ちしかなかった。

その後は富山県の真ん中あたりで日が沈み、雨にも降られた。
往路で通った海沿い付近の気持ちの良かった絶景も、真っ暗の高速道路をひたすら走るという面白くないことで記憶を上書きする。悲しい。
挙句の果てには名立谷浜SAが最後の給油SAだったのをうっかり失念してしまい、給油警告ランプが点灯する中、妙高を走り抜けた。松代まで残り10kmという案内標識を見るまで行きた心地がしなかった。「これは流石に終わったのでは……?」という自問自答を何度も繰り返した。流石に時間も深夜だったし、高速途中降りしたところでガソリンスタンドまでたどり着けるのかも不安だったので、かなり賭けだった。メーター1本が点灯する前で良かった……。
その後も行きと同じ道を走るという苦行を味わいながら深夜の高速を走り、途中のSAで横になったりを繰り返し帰宅。

旅の感想

今回の旅もバイクがとくにトラブルことなく完走できて本当によかった。
後日談としては、帰宅後にROK Strapeを外そうと思ったらシートロックがはずれなくなっていて理やり外してディーラーで見てもらい修理してもらった。そのくらい。
道中でなくて本当に良かった…。

5泊6日の旅の総走行距離は1,800kmほど。ガソリン代は全体で1.5万円未満。
旅の資金として用意していた6万は、お土産1万円分購入・ホテル/テント利用料・温泉・食事代諸々ですべて飛んでいった。
ただ一番お金をふっとばしていたのは、コカ・コーラーの自販機で売られていた「い・ろ・は・す 北のぶどうミックス 170円」な気がする。20本以上買って飲んだような……。道の駅立ち寄りが多かったせいで、コンビニに立ち寄る回数が少なかったことも影響し、もろに定価でありがたく購入させていただくはめになった。

過去のホテル宿泊旅と比較すると、テント泊旅はその地域に住む人との距離が少し近くに感じた。宿泊に関するトラブルも初回だったこともあって、要らないものが多かったり、想定外のトラブル(穴開き)で不安になったものの、「〜へ行かなければいけない」という焦燥感がないのは良かった。良かったんだけど、「どこへ泊まろう。予約できるかな」という不安がつきまとった。完全に行き当たりばったりな旅とはいかない。こればっかりは大勢が休みの中で行動となると、どうしても無理があると感じた。

ちょくちょくホテルを探してみたものの、年々繁忙期にビジネスホテルが取れなくなっている割合が増えてるように思えるし、宿泊価格の上昇も感じる。数年前は1泊5,000円のホテルはそれなりに点在していたけど、今年はホテルが多い金沢以外だと7,000〜8,000円が多くなっていた。(場所によるかも)
来年のGW、夏休みもまたキャンプツーリングにしたいと思った。ホテル予約だと当日行けるのかという焦燥感があるのも大きい。雨が降ったらイヤだなとかで直前まで予約を決めづらい。
加えて場所のキャンプ泊は選択肢が多いのはほんとうにありがたい。特に地方に行けば行くほどホテルは無かったので、この差が大きい。東北旅行も海沿いだと大きな町にいかないとホテルがないのでキャンプ泊は相性が良さそう。ホテルが安価に取れるなら無理にテント泊する必要はないが、その選択ができるというのがメリットのように感じる。

不要だったなと感じるのは「ガス調理器具類」で、持っていったけど一度しか使わなかった。(しかも使った理由がホテルで味噌汁を飲むため)
というのもキャンプと違って寝るだけが目的だったし、アウトドアご飯をわざわざ選ぶ理由がなかったので本当に不要だった。コーヒーすら一度も入れなかった。(片付けが少し面倒だった)
宿泊でお金がかからない分、食事に回せるお金ができるので、それなら晩ごはん豪華にするかーとなりがちで、調理器具はいらなかったなーというのが自分なりの感想。
余裕があれば持っていってもいいけど、持っていき損になりがち。

個人的にはもう少し道の駅でバイクの野宿ができればいいのになーという感じた。
さすがに車中泊が多すぎないか……。
車中泊が許可されるならバイクの野宿もってなるけど、結局は利用者のマナーの問題になる。野宿を選択する人がマナーを全員守るかっていわれたら守らない気がするので、どうにもならない。有料野宿スペースでなんとか……。

そんな旅だった。

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