東北旅2019 #03

3日目は前日と比べて風がやや吹いているという程度だったため、向かい風だと辛いなーという不安は杞憂に終わった。
前日の教訓を生かして8時にホテルを出発したが、コンビニで朝食をとったり初日の雨で汚れた自転車を掃除したりしていると結局走り始めたのは9時半くらいだった。
幸いこの日は130kmと距離が短いため、日が落ちるまでの到着を目指すことにした。

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岩手県に侵入しました。

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気仙沼は宮城県と岩手県の県境だったため、走り出してすぐに岩手県に入った。
前日の宮城県も震災の復興が進んでいない状況を目にしたが、岩手県はそれよりも数段遅れている印象だった。

奇跡の一本松

暫く進むと津波で奇跡的に1本だけ残ったという「奇跡の一本松」が見えた。
この付近の景色が一番、今回の旅で印象的だった。
前日に陸前高田市でホテルを探しても見つからないのは当たり前だったのだ。観光客向けの宿泊施設などとうてい準備できる状態ではなく、復興に携わる人の宿泊施設が辛うじて用意されているという雰囲気だった。
更地になった海沿いにも、かつては生活されていた家があったはずなのに見る影もない。ここに住んでいた人たちはもう戻ってこられないのだろうか…とぼんやり考えながら走っていると、歩道を若い夫婦と子供が楽しそうに散歩されていた。
眼の前には打ち壊された集合住宅があるのに、そんなことを感じさせない笑顔だった。

破壊された道の駅
一面が慣らされた土地となっていた
道沿いにあった集合住宅は、ねじ曲がった配管類や中には家具がそのまま置いてあり痛ましい

岩手県に入ってから、タイヤに空気を充填したりチェーンにオイルを塗布したいと考えていたので、ロードバイクを取り扱っていそうな自転車屋を探したが、まったく見当たらなかった。今までの旅ではなんだかんだと主要街道沿いを通っていたり県の中心街付近を走っていたため、ロードバイク取り扱い店舗にありつくことに困ったことはなかった。しかし今回は岩手県海沿いだったせいか、姓名+自転車店名といういかにもシティサイクルしか取り扱っていなさそうな自転車屋ばかりがGoogleMapに表示されていた。
こんな時にパンクしたらどうしようかと、内心不安だったがContinental Grand Prix 5000はさすがの耐パンク性能というべきか、走行中に何度かMavic純正Yksionだとマズそうな感触をタイヤ越しに感じたが幸運にもパンクや極度の空気抜け等はおこらなかった。

風は山間のためか強くなく、気候も温かい程度で快適。交通量は決して多くはなく、道自体は工事車両の落とした石ころが目に見えて多いがそこまで走りにくさもない。さらに全く見たことのない景色。まさに最高のサイクリングシチュエーション。

問題は海沿いとは程遠いような、山岳ルートだったことを除けば…。

海沿いのルートを想定していたボクは、昔小豆島を走ったときにアップダウンの連続だったことから岩手県の海沿いも同じような起伏ルートだと考えていたが、全く異なりリアルに山岳ルートだった。
海沿いに主要道路を通していない作りとは考えもしなかった。

途中オレンジ色のベストを着用したロードバイクの集団を見かけたのと、反対側からロードバイクの人とすれ違ったくらいで、他にロードバイクに乗っている人を見かけなかった。山岳ばっかりだから自転車には辛いというのはわかる…。
バイクライダーはたくさん見かけたので、ボクも次に来るときはぜひそうしたい。
というのも道中に観光所をいくつも看板で見かけたが、進行方向から逸れて10kmと表示されていることが多かった。そうなると往復で20kmとなってしまうため自転車旅ではかなり厳しい。(1時間以上の寄り道となるため)

今年に入ってからバイクの免許を取得したこともあり、観光を考えるとやっぱりバイクだな…と改めて感じた。自転車の旅は達成感という面では何物にも得難い体験ができるが、ゆっくりと見て回るというのには不向きに感じる。(もちろん移動距離を短くすれば可能だが)
今回の旅で走った道は、どれもバイクで走ると楽しそうだなーと感じていたので、またバイクで訪れたいと思った。

3日連続の残念な食事とマウントの不具合

朝のコンビニ以降、休憩らしい休憩もせず走り続けていた。
いくつかの山を越えたあと、お昼手前に比較的大きな街の釜石市に入ることができた。
ルート予定ではこの後に300m級の一番高い山が控えていたこともあり昼食休憩を兼ねて足を休めることにした。
釜石市は漁港があったが、どうもこの日はお祭りが催されていて市場の方は人が集まっていた。となると時間的にグルメで有名な店は混雑している可能性が高いと考えた。
これはまたコンビニかなと考えていると、イートインコーナーを併設したほっかほっか亭があったので、これ幸いと入店した。
スポーツ弁当という500円という価格の割にはボリューム満点な弁当を大盛にした。
この弁当が全国あれば良いのにと思った。(と思ったらこれ全国どこでもあった)
食べ終えた後、走りははじめるとすぐに吉野家+はなまるうどんという魅惑的な店が道沿いにあった。こっちで食べればよかったと凄まじく後悔したが後の祭り。

その後いくつかの休憩後、サイコンとライトのマウントがガタついてることに気づいた。
止まって確認すると本来M5サイズの平ネジで止めるものをM3で無理やりナットで固定していたため、どうも重量と振動負荷に耐えきれずネジが曲がったようだった。
Googlemapで検索すると幸い近場にホームセンターがあったため駆け込み、ドライバーを購入。しかしいざ回そうとするも曲がったネジが回るわけもなかった。
片側は曲がっていなかったこともあり、そちらだけ増し締めして凌ぐことにした。

ガタつくサイコンとライトで夜道を走るのは不安だったためホテルへ急ぐ。
幸いホームセンターからホテルまでは15kmほどだったため予定通り19時前に到着。
この日は人生初のルートインホテルだった。しかし宮古市のルートイン周りには3km離れた場所にコンビニがあるだけで食事できる施設はなかったため、またしてもコンビニで食事を購入しホテルへ戻るということに。
3日間ずーっと朝昼晩コンビニご飯とか酷すぎて言葉もでない。

ルートインはアパホテルと同様にホテル内の温泉施設が売りと聞いていたので、コインランドリーに衣類を放り込んだ後、入浴場へ向かった。こちらは噂通り広い浴槽で足を伸ばして入浴できたので疲れをとることができた。長距離の連続移動は極力浴槽に浸かり念入りにマッサージを行うようにしている。次の日の疲れの残り方が全然違うためだ。
そういう意味では前日のコモンインもこの日のルートインもゆったりと広い浴槽に浸かることができたのは心からありがたく感じた。

入浴後は部屋に戻り食事(UFOとごはんという最低なチョイス)を取りながら、最終日の工程を考えた。
このまま予定通り八戸に向かうか、もしくは今回はここまでとして盛岡に向かうかを悩んだ。 というのもGWの帰省ラッシュの時期のため八戸から新幹線に乗った場合、自転車を後部座席におけるのか心底不安だった。
さらに八戸までは165kmと3日目よりも距離があるにもかかわらず、獲得標高は2000mと3日目よりも多い。自転車の問題は最悪鈍行で14時間移動…ということを視野に入ればなんとかなるが…。そこまでしてウニが食べたいのか…と自問自答した。
結局23時を越えそうなため、八戸付近のホテルをブックマークだけして布団に入った。


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