12/11・12 静岡をあてもなく気のむくままにツーリング

関東と名古屋を隔てる静岡県。
その静岡県を一直線に横断する国道1号線。
車やバイクで静岡県を通り抜けたことがある方ならば「一度はいいけど、何度もは通り抜けたくない」と思うはずだ。
「できれば次に名古屋(東京)に行くときは別の道で……」と思いたくても現実的な話として高速道路以外のルートはどこも遠回りになるため国道1号線を使うのが一番利口な選択。

ひたすら果てしなく続く、走りやすく設計された真っ直ぐな道路。総距離約170km。
走る楽しさが少ない長距離の直線道路にくわえ、景色まで見飽きてしまった日にはとても耐え難い時間になってしまうだろう。

しかしそれはただ通り抜けるだけの県と捉えているからで、静岡県そのものを走る目的にするならば楽しいのではないかと以前から思っていた。
関東に居を構えていると静岡県は伊豆に行くくらいで、そこから西は中部・関西にいくときに通り抜ける以外では走ることがない。つまり静岡県の認識が少なすぎるのではないのかと。
そこでせっかくなので浜名湖のホテルで一泊。浜名湖をぐるっとまわるのを目的にしつつ、地図で見かけた面白そうな道を適当に走るツーリングをしてみようと計画した。

浜名湖でウナギと、最近よく聞く浜松餃子を食べるグルメツーリングだ。

DAY-01 12/11

前日まで天気が曖昧だったこともあり、同行者の友人と翌日の天気で考えようと伝えていたが、朝起きてみると以外と天気が良さそうだった。
11月の暖かさから一転し、すっかり気温が下がった早朝。気力を奮い立たせ出立。

いつもの高速入口から入ると高速道路は大幅に事故渋滞となっていた。
結局、高速道路に入ってから速度が60kmを上回ることはなく、下道かくやとばかりにゆっくりと走行していたら、ナビゲーションが途中で下道を行くように指示してきたので素直に従い高速を降りることにした。しかし下道もこれまた地獄のような渋滞で、結局友人と合流したのはほぼ昼前となっていた。


今回の旅ではナビゲーションを使わないようにしようと事前に話合っていた。
ナビゲーションでのルート案内はたしかに楽なのだが、目的地と目的地という点と点をつなぐだけになりがちだ。どうせならその時その時見える情報で旅がしたいと思ったのだ。
そこでまずは道の看板の案内を頼りに箱根を登る。
だが天気も景色も悪くはないのだが、やはり道路は渋滞気味だった。

箱根を降り三島バイパス沿いのローソン(三島谷田店)で最初の休憩を取る。
昼飯をどうするかーと話ながらそのまま国道1号線を走っていたら、道の駅富士に到着。
ちょうど昼飯時だったので海老そばや屋で昼食を取ることにした。
友人はカツ丼にしていたので、自分も「そば屋の海老カレーごはん」を注文したら、とても小さなそばセットとかについてきそうなカレーだった。どうりで360円と安いと思った……。めっちゃお得やんと思ったら、それはそうみたいな量だった。しょんぼり。

食後、コーヒーと友人のタバコ休憩中、富士山を眺める。
この日は天気もよく、冬の澄んだ空気ならではの美しい富士山を見ることができた。
裾野まで緩やかに広がる大きな富士山は美しいのだが、ボクはどちらかというと富士山は山梨側からみたほうが好きだ。

お腹も幾分膨れたので再び国道1号線を走る。
駿河湾を横目に走り続け、本日のお目当て県道362号線を目指した。
ところ看板を見落としてしまい行き過ぎて道の駅宇津の谷を越えてしまったので引き返す。
結局、そのあとも絶妙に道を間違い静岡市内にはいってしまったため、県道362号に入る頃には日がややくれ始めていた。

だんだんと道が細くなり歪曲した楽しい道になるだろうと感じ始めたころオクシズの駅わらびこが見えたので、早めにトイレ休憩を入れることにした。年でトイレ近いのマジ……。
はじめにこのオクシズの駅をみたときは、道の駅だと勘違いしたが、どうも静岡県のローカルPAのようだった。
そのため売店らしい売店がなく、道を挟んだ向かいに茶店があったため、昼が少し物足りなかったこともあって団子を食べようという話になった。

とても美味しいお茶とお団子(茶の芽)

とくに期待していたわけではなかったのだが、団子とセットで頂いたお茶も団子も美味しくて、予期せぬ美味しさにいたく感動した。
こうなると入口にあった焼き芋も美味しいのでは?と買ってみると、甘みとトロトロのほぐし具合がとてもよく、これまたお茶にもよくあってお腹がとても満たされた。
予期せぬ美味しい甘味に幸わせを感じてしまい、今回の旅はもうこれだけで来たかいがあったなーと話した。
友人はどうも真剣にお茶に感動したらしく、お土産にお茶を買って帰っていたほどだった。
お店は森田製茶(創業70年)の出店でGoogleのレビューも絶賛している人が多かったし、僕自身もまた訪れたいと思える素晴らしい茶店だった。

その後はやや薄暗くなった県道362号線を走る。
地図で見たとおりなかなかのワインディング・ロードで日があるうちに走れればもっと楽しかったに違いないと話をしながら楽しく走った。

県道362号線が大井川とぶつかるころには、すっかりと暗くなってしまったこともあって南下することにした。
やはり12月ともなると日がくれるとすっかりと冷え切ってしまい寒さが辛いと感じていたころ、道の駅 川根温泉の看板が見えたため、渡りに船!と立ち寄ることに。

個人的に今回のツーリングではとくに温泉を予定にいれていなかったため、こんな場所に温泉があったのかと、またしても偶然の出会いだった。また道の駅併設ということもあり入浴料は520円とやすかったが、さらにモンベルの会員は少し安くなるようだった。(会員1人で2人分まで)

肝心の温泉は泉質もとても良く(ナトリウム-塩化物温泉)、噴出温度49度で湯量豊富な源泉がかけ流しで注ぎ込まれているため、露天風呂でも熱いほどのお湯が堪能でき、冷え切った体をたっぷりと温めてくれて控えめに極楽だった。外がまっくらのため、露天からの展望景観は望めなかったが、露天風呂が温度複合タイプだったので広く、様々な形の岩風呂と檜風呂構成だったため風呂場の景観が良かった。

浜松餃子はおやつのような餃子?

すっかり温まったあとはホテルを目指す。
ホテルは夜遅目にチェックインを設定しているから、先に目当てだった浜松餃子で晩ごはんにすることに。比較的遅くまで営業している人気店「福みつ」を目指して南下を続けた。

走ることしばし。温泉で温まった体も走行風と夜の冷え込みですっかりと冷却されたころ、街のあかりが見え始めた。夜の山走りから突如目の前に広がり始める街の明るさは個人的に何度見ても好きだ。なんというか人里に降りてきたという安堵感のような温かい気持ちになる。

そのあと1時間ほど走り福みつに到着。
やはり人気店だったため行列ができていたので並んで待ったが、思った以上に回転速度があったためそこまで待たず入店できたのは幸いだった。
早速お目当ての浜松餃子をいただく。昼が図らずとも控えめになっていたこともあったので、餃子定食中(15個)のご飯大盛りを注文した。もし足りなければ友人と餃子を注文し別ければいいだろうという算段だ。

餃子定食 中

初めて食べた浜松餃子は、なんというお菓子のような味わいだった。
揚げ焼きされていて皮は固め。中の具材は通常の餃子よりも薄味でキャベツの甘みと肉の甘みが強い感じだった。
たくさん食べれるという物だが、個人的に餃子は重い方が好きな身としては、こんな餃子もあるんだなーという新鮮味が強かった。美味しかったけど、これはたまにがいいな。
あと浜松餃子は円形の焼いたものをお皿にひっくり返したものというイメージが強かったので、もしかしたら他の店の浜松餃子は違うのかもしれない。
また浜松にきたときは別の店に行きたいと思う。

餃子でお腹を膨らませた後は宿泊地のホテル(くれたけイン浜名湖)へ一直線に向かい、チェックインに設定していた20時をやや過ぎたころに到着。
宿泊費はツイン一部屋で7,000円(一人3,500円・朝食つき)。
浜松駅から少し離れた鷲津駅のため浜松市街地は遠いがその分安い。
ボクのような宿泊費を極力ケチりしたい人間にはとても助かる。
それでもホテルの室内はキレイで清潔だったので満足度が高かった。

この日は駅近くのコンビニでお酒を買い、ホテルで飲みながら友人が持ってきていたSwitchで遊んでから就寝。

DAY-02 12/12

明けて翌日。
2日目は浜名湖をグルっと回ってからうなぎ屋で食べることは決めていた。
ホテルの朝食は定番のバイキング形式だが、Sirocaのトースターで焼いたパンが美味しすぎて結構パクパクと食べてしまった。あまりの美味しさにまたパン食に目覚めそうだ…。

その後は浜名湖周遊路(県道310号線)を走る。
前日に引き続き2日目の天気もよく気持ちよく走ることができた。

浜名湖の周遊路上にオレンジロードというワインディングが楽しそうな道があるとのことだったので、周遊路からそれてそちらに向かうことに。
オレンジロードに入る手前(三ヶ日IC入口付近)に見えたJA三ヶ日特産センターがとても気になり、バイクが何台か停車したことも気になったためせっかくなので立ち寄ることにした。

停車したもののどうしてバイクが停まっているのかがわからず、まずは中に入ってみようと入店すると、三ヶ日みかんを販売しているようだった。
まったく無知だったため、そもそも三ヶ日みかんって何?という状態だったが、せっかく寄ったのだし、ちょっと食べてみようという話になった。

小ぶりなみかんで安めのものを、まずは試しと購入。
早速店の外で皮を向き食べてみる。
美味い。

関東で味わうことができなかった、そうそうみかんってこんな味だよなーという故郷で食べていたような美味しいみかんに感動しながら、二人して「美味い!美味い!」と食べたらあっという間になくなった。
前日の茶屋もそうだけど、まったく思いがけない美味に出会うととても心が満たされる。
やっぱり人間、生きていく活力として食の美味しさって大事だと感じる。

その後はオレンジロードに向かい、気持ちの良いワインディング・ロードを走る。
天気も良いし、オレンジロードから見える浜名湖の景観もよく、右へ左と気持ちよく走る感覚はバイクならでは。

オレンジロードはそこまで距離がないためすぐに終わってしまったが、以前山口のサイクリング大会(サザンセト・ロングライドinやまぐち)で走ったコースを思い出させた。
あの大会も印象的で記憶に深く残っている。

その後はお目当てのうなぎ屋 うな吉へ。
昼には少し早い時間についたため、並ばずに入店することができた。

今回の旅の大本命。
さすがにここで節約するほど愚かではないので、松を大盛りで注文。
お通しのウナギの骨のおつまみが美味しくてポリポリと食べながらまつことしばし、待ちに待ったうなぎ重がきた。

うなぎ 松 ごはん大盛り

蓋はないのかーとおもったけど、よくよく見るとこれでもか!といわんばかりにご飯が詰まっている。うなぎ屋のご飯大盛りは控え目が多いが、これはご飯が多すぎて蓋がないパターンか!「この食いしん坊め!蓋なんていらんやろ!たんと食え」という気概を感じるご飯の量。

美味しいウナギを口いっぱいの白米で食べれる喜びたるや。
ご飯の量を計算して食べる小賢しさはいらない。
ウナギを食べ、好きなだけご飯をすくって食べればいい。
たったそれだけのことなのになんという幸せか。
心から満足のいく食事だった……。

いちごも美味しいなんて

今回の旅の目的はここでおわったため、あとは本当にノープランに適当に走ることになったが、前日のホテルで酒を飲みながら
「ボクはこの海に出っ張ってる場所、好きなので行ってみたい」
といったことを思い出し、せっかくなので御前崎灯台に向かうことにした。
浜松から御前崎に続く県道150号線を走っていると、右手に「いちご狩り農園ピーターパンハウス」の看板が見えた。それがなんとも気になったため、どうせ急ぐ旅でもないから寄っていこうと会話し、Uターンをしてまたしても立ち寄り。

中に入ると形の良い美味しそうないちごが売られていたが、やはりちょっとお高め。
他にめぼしいものはないかなと販売所のビニール内を見て回っていると、直売所ならではのお買い得品の大きな紅ほっぺが400円で売られていた。
三ヶ日みかんも美味しかったし、ここも物は試しに買ってみようと購入。
同じようにバイクに戻って食べる。
すんごく甘酸っぱく美味しい。

完全に静岡を知らない人だった。
こんなに色々なフルーツが美味しい場所だったなんて思いもしなかった。
お茶のイメージが強すぎるけど、フルーツもどれも美味しい。
まさによもやよもやだ。

結局友人はまたしても気に入ってしまい、彼女へのお土産にいちごを持ってかえることにしたようで多くのいちごをダンボールにつめて購入し、タンデムシートに固定していた。
その後は再び県道150号線を御前崎岬まで走りながら、二人でまったく想像もしてなかったフルーツの美味しい県という認識をあらためることになったなーと話をしながらバイクを走らせた。


到着した御前崎灯台の景観はとても良かった。
これぞバイクの海沿い旅路といわんばかり素晴らしい道を、夕暮れにむかい沈みゆく太陽をながめながら走った。
灯台駐車場に駐車後、灯台まで階段を登る。しかし小高い丘の上にある灯台をひと目みたボクは、「あ、これ絶対ムリなやつだ」と下からみて高所恐怖症が発動してしまい諦め、友人とは一時別れボクは売店に向かった。

売店は高齢のおばあさんが一人で切り盛りされていた。
コーラを一瓶もらい少し世間話をしたあと、ベンチから海を眺める。

波が砂浜に寄せては返していた。
遠くを見れば、もうすぐ沈むであろう太陽。
空には冬のうろこ雲。
海と空の境界に続く道。
風は少し強かったが、なんとも心に残る風景だった。

こんな道をいつまでも走っていたい。
そう思わされるいい風景だった。


その後は行きと同じく箱根を登り戻ることにした。
富士に入る頃にはすっかりと日が落ちてしまい、また寒さに震えながら走行することになったし、そんな中で箱根を登ったものだから寒さの極みだった。

箱根を降りた後しばらく一緒に走ったあと高速道路で友人と別れ帰路についた。
一人で走りながら、なんとも思いがけないことの連続で楽しく、ボクにしては珍しくグルメに溢れた旅だったなと、とても満足していたことに気づいた。

またそんな旅がしたい。
そう思いながらボクは高速を降りた。

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