「とんかつをな、とんかつをいつでも食えるようになりなさい」という美味しんぼでも有名な台詞を思い出すときがある。材料高騰でジリジリと値上げが進んだこととコロナで生活様式がかわったこともあって、ボクはほとんど外食をしなくなった。
それでもたまにはと気力をあげて食べに行くものの、いつも同じ店で冒険しなくなってるのは良くないと思いつつ改善できない。貧しさが原因。
少ない賃金で失敗したくないって気持ちが心の貧しさも産んでいるのはわかっているのだが……。
会社の近くにあるとんかつ屋は月に1度は足を運ぶ。
前はロースカツ定食が650円だったが、ジリジリと値上がりして750円になった。
さすがに1,000円を超えると「うっ」と思ってしまうが、まだギリギリ通える範囲だ。
最近雑誌に掲載されていた両国のとんかつ「はせがわ」に奮発して食べた。それこそ数日食費を削って我慢したせいも過分にあるが、良質な脂身は胃にも優しいというのは本当で、脂身が少ないわりに柔らかく、脂も控えめで食べやすく美味しかった。
食べ終わっても、「これはとんかつだったのだろうか……とんかつの見た目をしていたが、とんかつとは別の物を食べたような……」と不思議な感覚に陥った。
美味しいのだけど、食の解像度が低すぎて理解が追いつかなかった。
逆に会社近くのとんかつ屋は食べ慣れていることもあって、口が求めているとんかつの味を味わうことができる。
そんな幸せな1日。