『エンツォ レーサーになりたかった犬とある家族の物語』の視聴感想

2/23が終わる少し前、ふと隙間のような時間がうまれた。
よく見ているVTuberの配信予定もなく、日付が変わるまで3時間ほどある。そんな空白の時間を何をして過ごそうかと思ったとき、「そういえば映画を最近見ていない気がする」と思い立ってAmazonのレンタル映画を物色した。

Amazonのサイトをひらくと、休日100円シリーズがあり、その中に「エンツォ レーサーになりたかった犬とある家族の物語」があった。
フェラーリが好きなので「エンツォ」という名前が気に入ったことと、「レーサーになりたかった犬」という犬の話のようだったこと、さらに日本では未公開という点が気に入ってレビューをさっと見て視聴することにした。

開始数秒でぐったりした老犬の独白から始まるが、物語は犬が主人公のデニーに里親から引き取られるところからはじまる。

犬(エンツォ)の声はケビン・コスナー。
映画はデニーにスポットを当てた画面構成(通常映画構成)と、犬からみた人間(見上げる視点)の画面構成でできている。
エンツォ視点ではケビン・コスナーが「私が人間ならば〜できるのに」といった家族の一員としての犬の感情ともいうべきセリフで物語が紡がれる。

映画のタイトルからレーサーになりきる犬なのかな?と思っていたが、これはなんとも邦題に齟齬があるようにも思える。言葉が難しいが、この邦題は最後のシーンだけを抽出したようなそんなイメージがある。正しくは原題の「The Art of Racing of the Rain」を訳して、「雨のレースで行うドライビングテクニックのように人生の苦難は乗り切れる」というのが作品を見たあとの感想になる。(映画を見てもわからない副題は日本では売れなくなるため、わざとだというのは理解している)

この映画は英語副題のように、安易な売れないレーサーが犬を迎えて成功していくサクセスストーリーではない。主人公のデリーが人生の不条理にぶつかり、家族も大きな困難にぶつかっていくけれど、デリーは雨のレースを得意としているため、困難に立ち向かう力がある。という人間ドラマがテーマの作品だ。それを犬のエンツォ視点で描いている作品。

最後が感動しますというレビューを見て少し期待していたが、海外のレビューサイトが正しく、犬が好きなら面白い作品だが、そうでないならば展開が読める退屈な映画というのが正しい。

ボクの感想としては犬が大好きなので「エンツォカワイイなー」と終始ほっこりした。また明確に敵らしい敵が存在せず、登場する人物の誰もが良い人だらけの世界のため、緊張感に肩肘張ることはなく、何も考えずぼーっと視聴したことで、ゆっくりとした時間が過ごせて良い映画だったなという感想。
誰かにオススメはできないけど、たまにはこんな映画も悪くないという映画だった。

何も考えたくない日の終わりに見る映画としてはオススメ。

エンツォ レーサーになりたかった犬とある家族の物語(字幕版)

Super Size Me 2 Holy Chicken

数日前、Amazon PrimeVideoに「スーパーサイズ・ミー 2」の文字とパッケージが目に留まった。これはみなければと忘れないうちにとウォッチリストに登録するところまではいつも通り。ボクはウォッチリストに入れると、そこで満足してしまい放置してしまうことが多い。しかし前作「スーパーサイズ・ミー」はとても良いドキュメンタリー映画だったこともありこれは外さないだろう!と再生ボタンを押すことにした。
その結果、思いがけず充実した90分間を過ごすことができた。

スーパーサイズ・ミー:ホーリーチキン

監督のモーガン・スパーロックが自身を使ったドキュメンタリーとして話題(アカデミー賞候補)になった「スーパーサイズ・ミー」は賛否両論あるが、ボク自身は素晴らしい映画だと思う。

前作「スーパーサイズ・ミー」は、自身を被検体にしたファーストフードが及ぼす悪影響のドキュメンタリー(マクドナルドを毎日3食30日)だったので、今回はどのファーストフード店で食べ続けるのだろうと考えていたら、まさかの自身がファーストフード店を新規立ち上げする話だった。

「スーパーサイズ・ミー」は皮肉とユーモアたっぷりに、「アメリカの肥満増加問題はファーストフードの悪影響である」という暗いアメリカの現実問題を、絶妙な塩梅で明るいコメディタッチにしたドキュメンタリーだった。「スーパーサイズ・ミー2」と題うった今作も前作同様にアメリカのファーストフードを取り巻く悪雲にフォーカスした内容だが、前作と同じくコミカルな明るさと面白さで肩肘張らずに見れる素晴らしい作品に仕上がっていた。
ドキュメンタリー映画(映像)というと事実だけを暴いて重くのしかかる現実を突きつける作品が多いが、モーガン・スパーロックはそこを重視せず、あくまで事実という課題に対して改善策は皆で考えれないだろうかというスタンスなところがとても好感が持てる。

例えば作中では、チキンが健康的な食材で今では牛肉を超えて消費されていること。さらに各ファーストフード店でも、チキンを使ったメニューを用意していることから始まる。一方でチキンをグリル(網焼き)することで油を落とすヘルシーメニューと、クリスピー(フライのイメージは重いため別の言い方でヘルシーに聞こえるように)の比較ではクリスピーメニューの注文数が遥かに高いことも紹介している。(グリルはほとんど注文されないようだ)

人々はヘルシーを志向するのに、実際の注文は欲望に忠実なフライメニューとなる。
そこで顧客の良心が傷まないようにと、フランチャイズ各社はメニュー表記に「フライ」という言葉ではなく「クリスピー」という言葉に置き換えた。これを健康ハローというらしい。
しかしそう言われるとボク自身も野菜が入っているからヘルシーでは?という認識があることに気付かされる。(例えばはなまるうどんにレタス1個分練り込まれているとか)

「スーパーサイズ・ミー2」はそういった「フランチャイズが悪い」ではなく、消費者のニーズに沿った結果が今の見せかけのヘルシーブームを産んだことにフォーカスされている。その映画を通して伝えたい内容がわかるのはこの映画の最後の方となる。

日本版の映画サイトがないあたり、おそらく国内上映されていない映画だが最近見た映画ではピカイチで面白くぜひオススメしたいと思ったので投稿した。
ドキュメンタリー映画ってこうあるべきだと思う。
人生は気づきがあるから面白いのだ。

余談だが同じ系統の「ファウンダー」もボクはおすすめしたい。
こちらはマクドナルドができるまでというノン・フィクションに近い話だが、とてもおもしろかった。
おそらく「ファウンダー」を見た後で「スーパーサイズ・ミー2」を見るととても楽しめると思う。(劇中にマクドナルドの外観や店作りに対する考察があるため)

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ