いくぜ、東北 2022 GW 5/4,5 DAY-04,05

前回の続き

5/4 DAY-04

4日目の朝は8時にホテルを出発。まずはホテル近くでガソリンを満タンに。そのあとコンビニで朝食をとりながらどういうルートで十和田湖に向かおうか考えた。
さすがに標高が高い十和田湖周辺は雪があるのでは……?と色々調べていると、地図上で「酸ヶ湯温泉」の文字が目に入る。

さすがにそっちは雪でいけないだろうと思いはしたものの、もしいけるのであれば是非とも立ち寄りたいと期待しながらTwitterで直近のつぶやきを調べる。すると前日投稿の写真で道路の降雪はなく行けそうに見えた。それならせっかくだし行ってみようと即座に思い立ち向かうことにした。
最悪だめなら諦めて戻ればいいだけの話だ。


奥入瀬川の景観を横目に走る

十和田湖市内から国道102号線で酸ヶ湯へ向かう。
さすがに有名ドライブコースだけあって混雑具合がすごい。
ただ快走というわけではないが、渋滞ではないためゆっくりのんびりと景色を見ながら走れてよかった。
途中、十和田湖にそのまま向かう国道102号線と別れ、酸ヶ湯へ向かう国道103号線になると車の数は明らかに減った。道路は凍結や積雪こそしていないものの、道の横にはしっかりと何十cmも積雪した雪景色が広がっているので、「いつか突然道が雪道にならないか」と内心ドキドキしながら走ったが、無事に酸ヶ湯最寄り駐車場までたどり着くことができた。杞憂で良かった。
ただ雪解け水が道を横断していたりでバイクがとても汚れた……。

雪解けしはじめた酸ヶ湯温泉付近(GR撮影)
酸ヶ湯温泉の千人風呂

何度も写真で見てはいつか入りたいと思っていた酸ヶ湯温泉。
念願が叶って入れたのは本当に良かった。
個人的に過去に入ったどの温泉をも遥かに凌駕し、「これは確かに素晴らしい」と感じる温泉だった。

とても濃密な硫黄泉。
硫黄泉好きのボクとしては「那須塩原の鹿の湯が一番だな」と、いくつもの硫黄泉に入るたびに思っていた。しかし流石は国民保養温泉地第一号。今回はきっちりと塗り替えられ「一番は酸ヶ湯温泉」となった。
ここの子になりたい。不便極まりない立地だが。

温泉はやや熱湯だが、外はまだ雪が残るほどの気温だったこともあり、体は芯までキンキンに冷えていた。しっかりと長めに入浴し芯まで温まる。長旅の疲れもとろとろと溶け出し、濃密な硫黄泉に心が癒やされる。いつまでも入っていたいと感じるほどに堪能することができた。
入浴後に駅の売店に美味しそうな手作りのおにぎりがあったので購入。お土産には温泉の素があったのでそちらも購入。足の悪い両親にもこの温泉を堪能してもらいたいと思い郵送することにした。


酸ヶ湯入浴後は行きで別れた道まで戻り、今度は国道102号線を奥入瀬渓谷沿いに進む。
個人的な感想となるが、奥入瀬渓谷はそこまで目を引かれなかった。
というのも知名度が先行しているため期待値が高かったこともあるが、目に入る景色がとくに奥入瀬渓谷でなくても良く目にする渓谷の景色だったからだ。
たしかに長くなだらかというのはあるが、そこまで美しいと心打たれる景色ではなかった。
さらに純粋に人が多く、景色どうこうより有名観光地ならではの路駐車が多くてげんなりしたことが大きい。どちらかというと車両で通行するより歩いたほうが楽しそうではあった。

奥入瀬渓谷を登りきった後は瞰湖台に向かい高台から十和田湖を眺め見る。
ブラタモリで放映されてい以来、いつかはその美しさを見てみたいと思っていたが、あいにく天候があまりよくなく、広さや美しさを肌で感じることはできなかった。

十和田湖

奥入瀬渓谷を登っている段階では天気が良さそうだったものの、頂上付近にさしかかると雲が空を覆っていた。残念だが山の天気は日がさすのを待つか諦めるしかない。

道路看板で「乙女の像」をよく目にしていたため、せっかくなので十和田湖にある有名な高村光太郎の「乙女の像」も見ることにした。
駐車場に止めた後、十和田神社を先に参拝し、そのあと像を見に行く。
するとちょうど雲が切れ日の光が差し込んだこともあり、乙女の像をきれいに見ることができた。

立体彫刻は見る角度で印象が異なるため、360度様々な角度で鑑賞した。会津磐梯美術館でダリの立体彫刻作品を見たときも思ったが、見る角度や光の陰影で表情が変わるため面白い。

乙女の像
反対側からの乙女の像(GR撮影)

このあとは本来であれば十和田湖から鹿角市に入り八幡平を見たかったが、さすがにそちらはガッチリ雪が降っていた。
出立前に岩手県のガイドブックを見たときに八幡平ばかりの情報だったため、いくつかメモしていたこともあり行きたい場所ではあったが、潔く諦めることにした。

というより思いの外、旅の前半で景色に満足してしまっていて、どことなく心の受容量がいっぱいいっぱいだった。十和田湖も奥入瀬渓谷も見たいと思っていたはずなのに、そこまで感動しなかった。心の器が満ちすぎるとだめだ。
乙女の像はギリギリ印象に残った。


十和田湖からは国道104号線で下り、東北の大動脈ともいえる国道4号線に乗り青森県を抜け、岩手県に戻る。岩手県に入ったあとしばし走り、もう雪道はないだろうと考え、途中のコンビニで食事しつつ、水を買いバイクを洗車した。

バイクがきれいになったこともあり国道4号線も気持ちよく走れた。日が暮れていく景色を眺めながら流れに沿い盛岡を目指す。
道中にドライブイン(宿泊可能で3,000円)という看板をいくつか見かけた。
その情報がわかれば電話したのに……インターネットで掲載がなく調べれない問題。
この日のホテルは1泊5,000円だったので良かったが、前日のホテルのように8,000円近いと懐が痛すぎる。

その後、日が落ちきるまでにホテルに到着。
ホテルは市街地の端とも言える立地だったが、レンタル自転車が用意されていたため、夕食は市街地で取ることにした。
市街地を駅に向けて走りながら、晩ごはんは何にしようかと店を物色していると「盛岡名物 じゃじゃ麺」ののれんが目に入った。「これはもう決まりだ」と悩むことなく店前に駐輪し入店。どうも閉店間際だったようで危ないところだった。

盛岡名物 じゃじゃ麺

じゃじゃ麺は知っているものの食べたことがない料理だったので、シンプルに「なるほど。こういう味のものなのか」と関心しながら食べた。食べたことのない料理は楽しい。
テーブルには「麺を食べ終わったあとはチータンタンとお声がけください」とあったのでお願いする。卵と鶏ガラスープで麺に味をつけていた味噌を溶かして食べると、先程までの麺料理とは異なった料理ができあがる。一品で二度美味しい、不思議な料理だ。

お腹を満たした後、ホテルに戻ると翌日の工程を考えた。
八幡平へ行けないとなると、あとは中尊寺金色堂を見るくらいかなと思うと、財布に入れていた予算分のお金も心もとないこともあり、翌日のホテルはその場の流れで決めることにした。


5/5 DAY-05

5日目は自然と早く目が覚めたので、7時と少し早めに出立した。
ホテルの1Fに「ラジオ もりおか」の放送室があり絶賛放送中だったため、さすがにここでエンジンをかけたらマイクで拾いそうと思い、手押しでバイクを移動させホテルから離れてからエンジンをかけた。

ホテルを出た後は再び国道4号線に。
この日は中尊寺金色堂が目当てらしい目当てだが、旅の出立前にガイドブックを見ながらメモした場所は立ち寄ろうと思い、まずは花巻市にある「大沢温泉 山水閣」に向かった。

最終日も天気が良く、気持ちよくバイクを走らせることができた。
ただ体には長旅での小さな披露が蓄積していることも感じ、予め全日程に二輪定額割を申し込んであったのでで、このまま宿泊せずに高速道路で帰宅することも視野に入れることを考えながら国道4号線を南下した。


信号も少なく渋滞もしなかったため、山水閣には10時頃到着した。
到着して気づいたのは、以前自炊湯治に興味があって調べたときに行きたいなと思っていた温泉「湯治屋」と同じところだった。
図らずとも行きたいと思っていたところに偶然到着してしまった。

湯治屋

早速日帰り入浴で入浴。
本来は山水閣で受付なのだが、この日は湯治屋側で受付してくださいと案内されたのでそちらに向かう。館内は繋がっていたので、どちらに宿泊してもお風呂は同じなようだ。
ここでの話は以前別投稿したため割愛。

温泉から出たあと、湯治屋の休憩室で備え付けのパンフレットを読んでいると宮沢賢治ゆかりの宿とあった。
そういえば花巻といえば宮沢賢治だよなーとパンフレットに目を通すと、大沢温泉からそれほど遠くない場所に宮沢賢治記念館があるようで、とくに目的があるわけでもないしと立ち寄ってみることにした。

宮沢賢治記念館で解像度を上げる

宮沢賢治は「サクラの詩」というエロゲーで興味を覚えて、作中に登場する「春と修羅」や詩集全集をKindleにいれて暇なときに目を透しているが、「春と修羅」に関しては全くわけがわからず、解説本はないのか……と思っていた。

それが宮沢賢治記念館で宮沢賢治の生い立ちや考えに触れたことで、「心象スケッチ」とはどういうことか、どういう思いで詩を書いていたのかと知ることができた。
日本語難しすぎだろ。あの文からそんな情報は読み取れない…。

何気に宮沢賢治の解像度が上がったことがこの旅で一番の学びの面では実りだった。
むしろこの記念館の情報なしに、どうやって「イーハトーヴォ」を理解するんだ。宮沢賢治の法華経の影響なんて初めて聞いたぞ。とはいえど学校の授業で宮沢賢治は永訣の朝と銀河鉄道の夜くらいしか習ってないが…。

宮沢賢治資料館(GR撮影)

記念館で会社へのお土産を買ったあとは、中尊寺金色堂に向かう。
こちらもガイドブックで見るべき名所とあったため訪れた。
普段であればあまり拝観料がかかるものは「いいかな……」と見ないこともあるが、さすがに金色堂を見なくてもいいやとはならず、拝観料を収めて拝観した。

個人的な感想だが、寺院の建物の良さがわかるほど歴史の学がないため解像度が低い。そのせいかあまり印象に残らなかった。思いの外、金色堂は小さい建築物なのだなーという感想くらい。
どちらかというボクが寺院に期待するのは庭園美の方が強いため、世界遺産登録された有名な歴史遺産を見てもピンと来ない。
若いころにもっと勉強しておけばよかったという後悔しかない……。

中尊寺 本堂(GR撮影)
中尊寺(GR撮影)

この日は朝早く出たとはいえ中尊寺を拝観し終わるころには日もかなり傾いていた。
宿泊するか高速で帰るかを一関IC手前のスターバックスコーヒーでドリップコーヒーを飲みながら、ガラス越しに走り去っていく車のテールランプを眺めぼんやりと考えた結果、真っ直ぐ帰ることにした。

懐が心もとないもあったが、これ以上詰め込むように観光しない方が良い気がした。また気になるところができたら訪れよう。無理してネットで探してまで旅を続け、観光するのは違うんじゃないかと。

一関IC入口から高速道路に進入し合流車線に乗るまでの360度カーブ、視線の先には黄昏色の空と一関の町明かりが見えた。いつも旅の終わりは「もう終わってしまうのか」と感じていたが、今回だけは「さぁ帰ろう」と思うことができた。
持ちきれないほどの思い出ができたことで、心が十二分に満たされていた。
行きたいと思っていた場所に行き、道中に行ってみようかなと思った場所へ行ったり、気になった場所で足を止めたり、何をするのも自分の自由だった。
その自由が心を満たしてくれたように思える。

次は東北の西側を見て回りたい。
来年もしまだ関東に住んでいたら、今度は西側へ行こう。
そう思いながら帰路についた。

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