職場の仕事用に数年ほど前にHHKB-Lite Macを購入した。
HHKBって何だよという方は、「Happy Hacking Keyboard」というマニア向けのキーボードと思ってくれれば良い。
HHKBは使い慣れるまでは打ち間違えが多かったが、一度なれてしまうと自宅のフルサイズキーボードが逆に打ちづらくて仕方なく感じるほどだった。
しかし自宅のキーボードを買い換えるには、今ひとつ決め手にかけていたことと、職場の物をProffesional版に変更するには2万円以上かかるため購入は先延ばしにしていた。
ただ先延ばしにしてはいたが、いつか買おういつか買おうという感じで定期的にAmazonや他の使用者様のレビューを見ては心が揺れていた。
Bluetooth版のHHKBが出たのはそれこそ2年ほど前だったと思う、しかし発売された価格は3万円であったことと、チャタリング(多重打ち)がいくつか報告されていたので、やはり買うなら普通の方かなーと思っていた。
そんなこんなで今回の購入に踏み切った決め手だが、
「HHKB BTを購入して、使う頻度が高いであろう土日だけ自宅で使えばいいのでは?」
と思いついたからだ。
よく愛用者が持ち歩いているというのを見て、「確かにケーブルを抜かずにひょいっと持って行けるなら煩わしくはないのかもしれない」と思ったのだ。
いやしかし3万円…。
キーボードに3万円である。
阿呆なのか?
阿呆なのである…。
PFU HHKB Professional BT 英語配列/墨 PD-KB600B
使用感とかレビューは「いかがでしたか?」があるようなレビューサイトでさんざん書かれているので、興味があれば探して読んで見てもいいと思う。
あえてボクの感想でよければ、HHKB Lite Macだと左下にFnキーがあって、右下に十字キーがあるが、あれが無い分十字移動とFn操作がおぼついていない。
ただそれもそのうち無意識に小指でFnキーを押して移動するようになるのだろう。HHKBは使っていくことで考え抜かれた設計思想に感動し、唯一無二の存在になることをボクは知っているためそこは心配はしていない。
打鍵の音はLiteと比較するなという話だが、とても静かでむしろ心地よい。
イカガでしたか?聞くまでもなく買ってよかったですよこの野郎。
ちなみに一番買ってよかったと思うことを誰も紹介しないのであえていうと、
机の上が超すっきりしてカッコいい&掃除しやすくて最高でーす!
ってこと。HHKBに興味がある方には迷わずどうぞというレベル。
オススメDeath。
話はまったくの余談なのだが、HHKBというのはボクにとっては少し縁がある製品である。
当時制作会社でディレクターとして勤務していたころ、HTMLコーダーで若くて美人で仕事ができるというパーフェクトな方がおられた。元レントゲン技師だったのが何を間違って転職したのかはいまだに謎だ。
そんな才女はデザインについてはこだわりがないが、自分のHTMLコーディーングの美しさと速さを求めいた。そんな彼女の使っていたキーボードがHHKBだったのだ。
いつも大事に掃除されていたHHKBは真っ白で、汚れ一つなかった。
Movabletypeのテンプレートの質問を聞かれた際に、はじめて打鍵したがなんとも使いづらいと感じたキーボードだった。使いづらそうにタイピングしていると、彼女は「慣れるとこれじゃないとだめなんですけど、使いづらいですよね」といっていたのが印象的だった。
しかしそんな彼女の大事なキーボードに、ボクは不注意でコーヒーを倒してしまい彼女を怒らせてしまったことがある。
「弁償します」と申し出たが、「いえ大丈夫です」と頑なに断られ、それ以来退職されるまで彼女からの態度がトゲトゲしくなってしまった。(時間でかなり緩和はしたが、チクチク言われた)
時がたってHHKBを購入する際に、Webサイトに書いてあった言葉で、どうして彼女があんなに怒ったのかを理解した。
「アメリカ西部のカウボーイたちは、馬が死ぬと馬はそこに残していくが、どんなに砂漠を歩こうとも、鞍は自分で担いで往く。馬は消耗品であり、鞍は自分の体に馴染んだインタフェースだからだ。いまやパソコンは消耗品であり、キーボードは大切な、生涯使えるインタフェースであることを忘れてはいけない」
HHKB HISTORY
自分の体に馴染むまで大事にしていた物だから、新しく同じ物を買えばよいというわけではないのだ。
ボクはモノとしてみていたが、彼女にとってはそうではなかったのだ。
そんなメルヘン。