先週末は風邪で寝ていたら土日が終わっていた。
厳密には土曜の時点では風邪の自覚がなかった。布団の中で「カクヨムなどのなろう系小説もおすすめされるものはそこそこ読み尽くしたなー」と思っていたところ、bookwalkerのアプリで「読み放題にアース・スターノベルが追加!」のバナーに気づき、興味を覚えラインナップを見てみると読んだことはないけれど気になっていたシリーズが並んでいた。これは良い!と14日間の無料につられ登録したのがいけなかった。「転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す」がとても面白く、読み放題対象の9巻までを貪るように読み耽てしまい、気づいたら日曜日になっていた。
続きの10巻は有料だったので、他の読み放題を探すと同シリーズの前世スピンオフが4巻まで出ていたので感謝しつつまた読み耽けた。そんな怠惰な過ごし方をしたせいか、どうも起きてから喉が痛いなーと思いつつ放置。ところが時間が経つにつれ悪化。夕方には咳と喉の痛みで大変なことになっていた。
結局、月、火と体調最悪のまま仕事をこなすも、4日も経って治らないのはさすがに病院へ行くかーと午前休みを申請して病院へ。
はじめは自宅近くの病院へ行こうと思った。しかしよくよく考えると午後から出社しないといけない上に、近くの病院は高齢者が暇つぶし通院で極大の待ち時間になる。そう考えると会社の近くに空いている診療所の方が良いと気付き会社へ向かった。
ただそうなると午前休みにしているはずなのにあまり休みらしい休みじゃなくなってしまう。いやそれはもったいなさすぎる!と、お気に入りの三角ホットサンドの店へ。
いつもならば買って帰るのだけれど、どうせなら店内で食べようと思い入店。店内に始めて入ったが、アメリカンダイナーのような雰囲気だった。
いつものパルタマ(おそらくパルマハムとたまごのサンドイッチの略称)とコーヒーを注文。店内の道路沿いの席は外国の旅行者が電話しながら陣取られていたので、壁沿いに設けられた革張りの座席に腰を落ち着ける。
店内は控えめな音量でJ-HIPHOPが流れていた。
出来上がったパルタマを頬張りながら、初めて注文したお店のコーヒーを飲む。気のせいかパルタマがいつもより美味しく感じた。
ボクが食べ終わり一息つくまでの間、旅行者はずっと電話でしゃべりっぱなしだった。かなり前にホットサンドが提供され受け取っていたのに、あれだとせっかくのホットサンドが冷めてしまうのではと思いながらコーヒーを啜る。
しばらくゆっくりと音楽を聞きながら窓から外を眺めていたものの、コーヒーを飲み切るには時間がかかりそうだったため、蓋をして店を出た。
歩きながらコーヒーに口をつけると、先ほどは感じなかったがコーヒー単体で飲むには少し味に角があるように感じた。店内でパルタマを食べているときは「これは美味しい」と感じていたため、なるほどこれは提供された店の料理に合わせた味だったのかと気づく。
そして最近読んだ好書好日のインタビュー記事の中で印象に残ったものを思い出した。
DJという行為は、残っちゃった音楽で一夜限りの体験をつくっているわけで。ジェフ・チャンの研究書「ヒップホップ・ジェネレーション」の最初に書かれてましたけど、そもそもヒップホップって最初はパーティー全部を指す言葉だったんです。だからこのレベティコみたいに「ラップをレコードにしようや」ってオファーが来ても、「いや、それじゃ意味ないから。ラップとダンスとブロンクスとこの場所全部の総体の名前がヒップホップなんであってラップだけレコードにしても意味ない」って断ってたらしいんです。
この話自体がさっきの武満徹の話と同じですよね、音楽は場所と不可分だった。でもラップとしてレコードに残ったものは売れて、今こうして世界に広まっている。
ボクは勝手にこのホットトーストはスターバックスのコーヒーとよく合うなと思っていたけれど、この店のホットトーストの本当の美味しさはアメリカンダイナー風の店内で、革張りの座席に座り、この店自慢のブレンドコーヒーとの組み合わせで完成するのだと気づいた。
世の中は知らないことが多く、自分のわかったつもりの認識なんて理解にほど遠かったのだ。まだまだ世の中は面白いことだらけだなと思いながらボクは病院へ向かった。